11月19日、サイバーエージェントは完全招待制のセミナー「スマートフォン プロモーション ミーティング」を開催した。広告主企業を中心に約200名の参加者が集った同セミナーは、スマートフォンを軸に3つのセッションが催された。
第3部のセッションには、ヤフー マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室 室長の友澤大輔氏、LINE 執行役員 広告事業グループ長の田端信太郎氏、Facebook Japan セールスディレクター 香川晴代氏の3名を招き、各社の広告事業キーマンが集結した。「メディア企業からみるスマートフォンを活用した広告効果と今後」と題し、サイバーエージェント 広告事業本部 統括の伊達学氏をモデレーターとしてセッションが展開された。
デジタル/モバイルがテレビの接触時間を超える時
2009年以降、生活者のスマートフォンの接触時間が急激に伸びている。これは「スマートフォンが伸びたので他のメディアの接触時間が減る」という話しではない。生活者が使うデバイスが多様化したことで、メディア接触時間が総体的に伸びているのだ。
「例えばテレビを見ながらスマートフォンでFacebookをするなど、いろんなことを同時にすることをマルチタスキングと言います。海外の調査では、1日のメディアの総接触時間は約35時間と言われており、1日の長さを超えています。 おそらく日本も、スマートデバイスの進化に伴い、どんどんこのような傾向が進むでしょう」と友澤氏。
ここで、伊達氏は米国におけるメディア接触時間のデータを提示した。それを受けて、「米国では今年、デジタルがテレビを超えると言われており、まさにそのタイミングに差し掛かっています。日本はテレビのプレゼンスがまだ高いので、そのタイミングは米国よりも遅れるものの、確実にその時はくるでしょう」と香川氏は述べた。
モバイルも同様に、ゆくゆくはテレビを超えていくと予想される。ただ、生活者のモバイル接触時間は増えているにもかかわらず、広告主が実際にモバイル広告に予算を投下しているのかというと、そこには大きなギャップがある。
「新聞社や雑誌社などのプリントメディアは生活者が費やす時間が少ないわりには、広告費が投下されすぎています。逆にモバイルは時間に対して、広告費はまだまだ流れてきていない現状です。 テレビはおおむね、お金と時間のバランスが一致しています。
広告主企業の方には、自社のターゲットユーザーのメディア接触時間のうち、スマートフォンが占めているシェアをぜひ把握していただきたいと思います。そして、自分たちがマーケティングに費やしている予算の、メディア別の予算配分を考えていただきたいですね。もしそこにギャップがあるのならば、そのギャップに対して出稿担当者は責任を負わなければいけません。
もちろん意識的に使わないという決断もあるでしょう。ただ、前年比で増やす・減らすといった説明責任ではなく、消費者のメディア接触時間のシェアという視点から考えてみてください」と田端氏は提言した。