Rising Starsに認定された2つの広告フォーマット
―今回、Crisp Mediaが提案し、IABの「Rising Stars」に選ばれた、ふたつのモバイル広告フォーマットを紹介してほしい。
Young 「Adhesion」はディスプレイ上に常に表示できるが、スクロール時に広告枠が一瞬消えることでユーザーのストレスが軽減される。また、表示位置はディスプレイの角のところに固定されるため、常にユーザーの目に留まり、高いエンゲージメントとビューワビリティを創出することができる。また、広告をクリックすると全画面表示にしたり、動画を展開することもできる。
「Full Page Flex」は、タブレットなどの画面全体を使って表示するので高いブランディング効果が期待できる。端末を縦にしても横にしても、スクリーンサイズに合わせて広告を正しいかたちで表示できるのが特徴となっている。

―日本でも米国でも、スマートデバイスは多くの人が使っているが、モバイル広告費はまだ低い状況にあるが。
豊福 スマートフォンのアクセス数は伸びている。PVに比例して広告収入が伸びればいいと思うが、実際にはまだそこまでいっていない。
スマートフォンでの広告表現については、ユーザーを飛び先に誘導するクリック誘導型とは異なる、スマートフォンの広告上で完結するユーザー体験がもっと求められると思う。Adhesionの広告をクリックすると動画が流れる。ユーザーは飛び先に飛んでもいいし、飛ばずにその場でブランド体験をすることもできる。そういう広告はこれから増えると思う。また、計測できる指標をしっかりそろえることで、サイトに飛ばなくても十分ユーザーがブランド体験できたと思ってもらえる仕組みを、Crisp MediaとDACで用意する必要があると思っている。
Young 先月発表された調査結果で、スマートフォンやタブレットなどPC以外のデバイスを介したデジタルメディアの滞在時間が初めて過半数を超えたというデータが出てきた。マーケターにとっては、過半数を超えたというのは大きな意味があるという認識はあるが、それに対してまだ広告費を投入する割合はまだ小さい。

Jason Young氏
このことを考えるとき、私は90年代後半から2000年代の初頭、パソコンが普及し始め、テレビから徐々にパソコンに広告費が移ってきたときのことを思い出す。過去を振り返っても、広告費というものはユーザーが利用するデバイスに付いて回る。米国ではPCに広告費が移っていくのに10年かかった。個人的にはちょっと時間がかかったなと思う(笑)。しかし、最終的にその規模はふさしいものになってきているので、モバイルに関しても同じことが言えると思う。
そして、PCからモバイルに移り変わるなかで、ブランドマーケターは新しい広告スペースを必要とすることになる。それに対応する新たな標準が必要であり、IABのような組織がRising Starsなどを通じて基準をつくることで、キャッチアップがより速くなると思う。