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大山忍のちょっと気になる海外マーケティング事情

第1回 アクセス解析のデータ活用でWeb勝ち組企業へ挑戦!


スターン氏への質問

 講演はアクセス解析の概論について簡潔にポイントがまとめられていたのですが、折角の機会なのでもう少し突っ込んだ話しを聞きたいと思い、講演後スターン氏に直接2つの質問をしてみることにしました。

Q
Web Analytics にはどれだけの予算を持つべきなのでしょうか?
A
残念ながら、答えはありません。ただし、私が繰り返し言っているのは、まずはテストをすべきだと言うことです。どこから人々が Webへ流入して、どこのチャネルからのユーザーがコンバージョンしたのか。テレビからもWebへの誘導ができているかもしれないが、調べてみなくてはわかりません。

「広告予算の~%をアクセス解析の予算に」と言うような明確なガイドラインを期待していましたが、さすがのアメリカでもそこまで明言はされていないようです。テストが重要だというのは、言い換えるとテストをしてどのような指標がとれ、何が目標として重要なのかを理解する必要があるということのようです。

Q
どの部署が、Web解析の予算を持つべきなのでしょうか?
A
これは成功事例があります。Webで成功している企業の共通点は、専門部署を設けているということです。単にWeb上のデータを測定するだけでなく、Webチーム、CRM、経営陣を横断的につなげる役割を担っているのです。
 

日本では、広告・宣伝部がWeb広告予算を、販売促進部がWebプロモーション予算を、広報がwebページ制作の予算をと予算配分がばらばらで、ログ解析はどこの部署が予算を持つべきかともめていると前述しました。それらの問題を解決するには、Webがビジネスに直結するものと位置づけ、組織体制づくりからはじめる必要があるようです。

    Buying tool vs. Getting value from tool

     今後、アクセス解析市場はどのように変わっていくのでしょうか?スターン氏によると「Getting value from tool」、すなわち「如何にツールからその価値を引き出すか」がポイントのようです。

    昨年、Googleが無料のアクセス解析ツールの提供を開始した(注3)ことにも象徴されるように、米国ではアクセス解析のニーズは拡大傾向にあります。特に広告予算が既存のメディア(TV・新聞・雑誌・ラジオ)からWebへシフトしているのは顕著で、ますます広告効果の測定が求められています。

    そこでスターン氏は今後の2つの課題を上げています。

    課題①人材の確保
    アクセス解析を十分に理解している人材が不足しています。そこで、今後はスターン氏のような専門コンサルタントのニーズが益々増えるだろうと指摘しています。

    課題②どれぐらいの規模の会社であればツールからベネフィットを得られるか?
    アクセス解析には「ツール、人材、時間」が必要であるため、全ての規模の会社が100%その恩恵を受けるのは難しいだろうと指摘しています。大手企業はそれらの条件をそろえることができるとしもて、中小企業がどれだけ対応できるかは未知数のようです。

    Webでの勝ち組になる3つの条件

     日本において、アクセス解析がまだ十分に浸透していないと言うことは、言い換えるとWebでの勝ち組になるチャンスがまだあるといえるかもしれません。 すなわちこれからの「勝ち組の条件」としては、

    • Webをビジネスの中心と捉えた戦略(意識改革)
    • 組織の形成(組織改革)
    • ツール、人材、時間の確保(リソースの確保)

     この3つをそろえられた企業が今後のWeb勝ち組になれるのではないでしょうか。

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    この記事の著者

    大山 忍(オオヤマ シノブ)

    米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。

    2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベストプラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)...

    ※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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    MarkeZine(マーケジン)
    2006/07/12 21:16 https://markezine.jp/article/detail/18

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