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大山忍のちょっと気になる海外マーケティング事情

第1回 アクセス解析のデータ活用でWeb勝ち組企業へ挑戦!


米国での活発なアクセス解析の啓蒙活動

 今年に入って、米国フォーチュン500社やイーベイなどの巨大EC企業をロイヤル顧客として持つ、オムニチュアというアクセス解析ツールを提供しているベンダーさんに、米国での動向についてお話を伺う機会がありました。

 最も驚いたのは、米国トップ企業のアクセス分析にかける予算規模です。オムニチュア社のツールはASP型なので従量課金で料金が発生しますが、大手企業ともなるとTVCM1本分ぐらいの予算がつぎ込まれているのです。思わず、なぜそこまでコストをかけるのでしょう?と聞いてみると、「それだけのコストに見合うだけの、利益を生み出すと認識されているから」とおっしゃるではないですか!
それでは、どのように米国のマーケッターたちは、アクセス解析と向き合っているのか調べてみると、驚くほどたくさんの参考情報がありましのでその一部を紹介しましょう。

まず、書籍。「Google Hacks」など、テクノロジー関連書籍の出版で有名なオライリー社から2005年に出版された「Web Site Measurement Hacks」という書籍がありました。早速購入してみると、ツールの選び方から、導入方法、目的別の効果指標(広告、ユーザービリティー、Webシステム運用)、そしてリポートの仕方まで説明されています。スクリプトの書き方など、少々技術的に突っ込んだ内容もあるので、技術よりのWebマスター向けの書籍です。

また、出版年は2002年と少々古いですが、Web分析の第一人者として評価の高いジム・スターン氏の書籍「Web Metrics」があります。こちらは、アクセス解析の技術面よりも、より導入から分析、そして企業活動への還元部分に注力しています。“上司を説得する”“フィールド・スタディ(現場研究)”などは、企業で日常直面するシーンでの対処法を説明しており、アクセス解析で何ができるのかを理解するには最適の一冊です。

 このスターン氏は、アクセス分析に関する執筆やコンサルタントとして活躍されている人物なのですが、教育・啓蒙活動にも熱心で、Web Analytic Association (Web分析協会)の発足や、eMetrics Summit(e指標サミット)という、Webの効果指標に特化したイベントを開催している立役者でもあります。

 ここでもう少し、Web Analytic Association(Web分析協会)の活動についても紹介しましょう。この協会では、Web分析に使われる用語の統一や、定義、成功事例紹介などの活動のほかに、教育プログラムや認定資格を推進しています。その一環として、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学と提携して、企業の担当者向けに「Web分析」専門のeラーニングのコースを設置しているのです。(注2)

成長著しい米国のWeb系企業や、企業のWebの活用を牽引しているのは、単なるテクノロジーだけではなく、そのテクノロジーを活用する人材の育成という土壌があることが秘訣のようです。

ジム・スターン氏、初来日!

 3月末日、アクセス解析ツールを提供しているベンダーのひとつ、デジタルフォレスト社が「WebマーケティングROI DAY」というWebマーケティングのイベントを開催しました。そこで前述のアクセス解析の第一人者、ジム・スターン氏をゲスト講演者として招待すると聞きつけ、足を運んでみました。

 このイベントでのスターン氏の講演を下記に簡単にまとめます。

    Four Key Components for Web business/ Webビジネスの4つの柱とは?
  • 広告
  • マーケティング
  • セールス
  • カスタマーサポート
    この4つのポイントにおいてインターネットを活用することが必要。
    Web Analysisのメリットとは?
  • Access to Product info( 商品情報へのアクセスが可能)
  • Access to Process info(プロセス情報へのアクセス可能)
  • Access to Transaction info( トランザクション(成果)情報へのアクセスが可能)
  • Access to people(人に対するアクセスが可能)
    What should I measure( 何を測定すればいいのだろう?)
  • Advertising(広告:消費者から注目を集め、商品・サービスを知ってもらう必要がある)
  • Marketing(マーケティング:商品・サービスはどのようなベネフィットがあるのか、消費者へ教育する必要がある)
  • Sales(営業:どんな商品がどれだけ売れたのかを把握する必要がある)
  • Customer Service(カスタマーサービス:お客様がWebサイトでどれだけ満足してくれたのかを理解する必要がある)
    それぞれのタスクには、目標とゴールがあります。またそれらの活動はコストに見合うものなのかを検証することが重要です。
    Three skill sets Required(アクセス解析に必要な3つの要素)
  • Technology:テクノロジー
  • Analytics:分析力
  • Business Manager:ビジネス・マネージャー

 「テクノロジー」、「分析力」、「ビジネス・マネージャー」の3つが揃って初めてアクセス解析ができると言っています。

 まず必要な要素は、テクノロジーです。ツールがなくては始まらないのでIT部門のサポートは必要不可欠です。その次が、分析力。Web上では膨大な情報を収集できるので、それらを的確に分析できる数字に強い人が必要です。そして最後にビジネス・マネージャー。これは、Web上の様々なアクションが、ビジネスにどれだけのインパクトがあるのかを明確にするために、ビジネスを理解している人が必要ということです。これらは、Webはビジネスの成功に直接関わるものでありアクセス解析はビジネスを成功に結びつけるために必要な事という考えが根底にあるようです。

次のページ
スターン氏への質問

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この記事の著者

大山 忍(オオヤマ シノブ)

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。

2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベストプラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/07/12 21:16 https://markezine.jp/article/detail/18

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