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APIによる「解放戦略」に活路を見出す小売業界、米国事例に見るオムニチャネル戦略

2013/12/18 11:00

 米国で起きたオムニチャネル化への波。そのきっかけのひとつに、多数の店舗を持つ大手チェーンの相次ぐ破たんがありました。小売業界がそこから導き出したひとつの戦略とは?

デジタル勢に敗れた大手チェーン

 日本国内でもO2O/オムニチャネルといった領域が盛り上がりをみせていますが、今回は、この実店舗とデジタルを結びつける領域をリードする米国における動向を見ていきたいと思います。

 米国では、この2~3年の間にある象徴的なできごとがありました。2010年にレンタルビデオ最大手チェーンの「ブロックバスター」が、2011年に書店チェーン界第2位の規模の「ボーダーズ」が相次いで経営破綻したのです。前者はオンデマンド映像配信サービスのネットフリックス、後者はアマゾン。それぞれデジタル勢力との戦いに敗れた残酷な結果でした。実際には、その兆しはそのずっと前からあったのですが。

自社に閉じていては負ける

 これらのネット企業に対抗するために、どんな打ち手があるか。実店舗を持つ小売業界ではさまざまな策を講じました。そのひとつの回答が「開放戦略」です。

 ネットにおけるショールーミング現象の脅威にさらされ続けていた家電量販最大手のベストバイでは、アマゾンやイーベイなどに対抗するために、自社の在庫情報や店舗情報などのデータを、積極的にAPI(Application Programming Interface、外部開発者が利用可能なインターフェイス)として開放し始めました。アプリなど、個人の開発者でも簡単に利用できる環境を提供しはじめたのです。この動きは、米国小売業界の中でも2009年とかなり早く、実際にこれを活用したさまざまなサービスが発表されたため、注目を集めました。

 ブランド戦略などを考えた場合、自社のデータを誰でもアクセス可能な環境に置くというのは抵抗があるでしょう。しかし、ベストバイはそれでも得るものが大きいと考え、踏み切りました。自社のデータ外部に開放することで大きなユーザートラフィックを生み出すというやり方はFacebookなどのサービス思想と同じです。米国ではこういった動きが広がりを見せており、例えば小売最大手のウォルマートなども開発者向けにAPIを公開しています。

 日本国内でも、今年、ローソンが自社のAPIを限定公開し、サービス開発を競うコンテスト「HackaLawson 2013」を開催するなど、少しずつ動きが出てきていますが、業界全体としてはまだまだ様子見といった印象です。

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