コンテンツレコメンデーションのパイオニア Outbrainとは
Outbrain社は2006年設立。本社は米国ニューヨーク、開発拠点はイスラエルにある。柱となっているのは、PV向上のための無料サイト内レコメンデーションと、ネイティブ・マネタイゼイションを実現する外部コンテンツレコメンデーションの2つ。サービス導入サイトは10万超、月間ユニークユーザー数は3.91億人、米国ネットユーザーにおけるリーチは87%、月間レコメンデーション数は1千億回以上に達している。
すでに9900万ドルの資金を調達し、IPOの噂もある同社は、この分野の開拓者として世界14か所、アジア太平洋地域では、日本を含めて、オーストラリア、シンガポールに拠点を持つ。今回、OutbrainのAPAC&EEMEAマネージングディレクターであるエイタン・ギャライ氏、アウトブレイン・ジャパン社長 嶋瀬 宏氏のおふたりに話を聞いた。
コンテンツの関連性は、必ずしも読者の興味と一致しない
― 膨大な情報があふれる現在、適切なコンテンツとの出会いは、メディアと読者の双方にとってますます重要なものとなりつつあります。Outbrainのサービスの特徴とは?
ギャライ ひとつはレコメンデーションのアルゴリズム。従来型のレコメンデーションエンジンの多くは、テキストを分析し、類似したコンテンツをレコメンドしています。そのため、オバマ大統領の記事があれば、オバマ大統領関連、あるいは米国政府の記事が並ぶ。
我々は、関連性が必ずしも読者の興味とつながるものではないととらえています。新聞の一面がオバマ大統領の記事だとして、ずっとオバマ大統領の記事が続く新聞は誰も読まないでしょう(笑)。我々が注力しているのは、それぞれの読者に対して関連性のあるコンテンツをマッチングさせることなのです。
メディアは、ウェブ(PC、スマートフォン、タブレット)、アプリや動画、メルマガまで包括的にサポートしています。世界最大のコンテンツのレコメンデーションプラットフォームとして、生成しているレコメンデーション数は月間1千億回超、Outbrainのウィジットをインストールしているパブリッシャーは10万サイトを超えています。こうしたビッグデータを用いてレコメンデーションの精度を上げていけるのも強みです。また、グローバルに事業を展開しているため、多言語、多文化というものを熟知しています。それらの独自ニーズをどう組み込んで、コンテンツマーケティングの世界で活用していくかというノウハウも持っています。
嶋瀬 違うマーケット、違う言語、違う文化への対応はどうなのですかと、よく聞かれます。我々は当然日本語対応も十分に行ってはいますが、国や言語よりも、むしろ個々のメディアおよびそのユーザー特性にフォーカスをあてています。ですから国という大きな単位はまったく問題がないというところですね。
― 必要な情報を見逃がしているのではと不安に感じるネットユーザーがいる一方で、広告モデル、課金モデルのほかに収益源を探しているメディアがあります。
ギャライ 情報過多な状況におけるネットユーザーのニーズは世界共通だと思います。我々の最も重要な指針は「ユーザーフォーカス」。読者がいて、その信頼があるからこそ、我々のビジネスモデルは成り立っているのです。そしてその信頼は、我々のソリューションを通して、より良いコンテンツと出会ったり、コンテンツを読んでいる時間をよりよい経験にしていくことがベースとなっています。
一方、メディアは現在トラフィック過多といえる状況にあり、そのマネタイズに苦慮しています。我々は、ネイティブな収益化(Native Monetization)において、パートナーとしてメディアとWin-Winの関係性を築いていく。
従来の広告では、たとえばテレビを見ているときにCMが入る。それによってユーザーはコンテンツに対する支払いをしているかたちになります。我々のサービスを導入すると、CNNのニュースを読み終わったあとに、OutbrainネットワークにあるNew York Timesのニュースを読みにいこうというように、ユーザーの経験を遮断することなくより多くのコンテンツと出会う機会を提供することができる。Outbrainはユーザーの経験を遮断しません。ユーザーはいずれ他のサイトに移動します。そのときに発生したトラフィックに課金するモデルになっているのです。
嶋瀬 代表的な例としては、メディアサイトから自社オウンドメディアへの導線、あるいはYouTubeなど第三者プラットフォームへの導線、タイアップ記事などへの導線などに利用することができます。
― Outbrainは、ネイティブアドのネットワークと言ってもよいでしょうか?
ギャライ 我々はコンテンツとコンテンツをつなげているので、アドと言う言葉はあまり使いたくありません(笑)。ネイティブな収益化を達成するためのネットワークととらえています。