Spotifyとブランドのつながりをケーススタディから見る

最後のトピックとして、Spotifyとブランドのつながりの話に移ります。
音楽マーケティングといえば、CMのタイアップを一番に想起されるかと思います。ですが、この方法では一定期間ミュージシャンやタレントをキッカケに話題性を上げるだけで、中長期的にブランドへのロイヤリティを向上することはできません。
Spotifyが実現する音楽マーケティングとは、ロイヤルなユーザー層の高いエンゲージメントをさらに深めていくことで、ブランドとユーザーのつながりを支援していくことです。つまり企業は話題性や一時的な人気に依存するのではなく、音楽というエモーショナルなツールを活用して、変化するリスナーに沿うかたちでブランドのストーリーを届けることを、Spotifyというソーシャルなプラットフォーム上で実現可能になるのです。
グレー氏は、こうしたSpotifyによるブランド支援の強みを「エモーショナル」「ソーシャル」「どこでも」の3要素に集約しています。
Spotifyで展開した広告キャンペーン
続いて具体的なブランディング支援ツールの紹介に入り、Spotify広告やサイトジャック、ポップアップする広告枠「Lightbox」、ブランド別プレイリストなどの企業に提供する広告キャンペーンツールを紹介。また、Spotifyがこれまで支援してきたブランドの音楽マーケティングのケーススタディもあわせて紹介されました。
こちらは、アイスクリームブランドMagnum がSpotifyと組み、リスナーにピンクかブラックかアイスのフレイバーを選ばせるゲームを行ったキャンペーンです。

ただゲームを表示するだけでなく、ピンクかブラックをテーマにした楽曲でSpotifyプレイリストが構築できるジェネレーターも設置。プレイリストはFacebookとTwitterにシェアできるようにデザインされていました。
フォルクスワーゲンとSpotifyのブランディングキャンペーン「Driving Track Confessions」は、FacebookとSpotifyを連動させて、運転好きな人が1人で運転するときの音楽を選択してもらい、それをFacebookで友人知人にシェアできるか勇気試しをするキャンペーン。普段はカッコイイ音楽を聴いていそうな人が、1人で運転するときにジャスティン・ビーバーを聴いている情報がFacebookのフィードに流れてきたら、友だちならすぐ突っ込みを入れて自分もトライしたくなる。このようなエンゲージメントを音楽を通じて生み出すことで、フォルクスワーゲンは試乗予約や顧客のリードの獲得、さらには音楽とブランドのつながりを訴求することができました。
最終的にこのキャンペーンはオンライン上でのライブイベントとなり、MTVでの番組にフィーチャーされるまでの成功を収めました。Spotifyはネットの音楽プラットフォームからリアルな世界にまで、人とブランドをつなげることができるプラットフォームであることを示してくれた事例でした。
音楽で何ができるのか?
これらの事例を紹介したグレー氏は、「Spotifyで何ができるのかと質問をするよりも、音楽で何ができるのかと質問するべき」であることを強調しました。音楽を聴きたい人が多い世の中において、人と企業が音楽でつながる可能性は高いと言えます。今後はマーケッターも音楽の価値を理解して重要視することが必要であると述べました。
最後にこれからよりたくさんの音楽が色々な場面で多くの人に聴かれ、その中でSpotifyは消費者そしてブランドを音楽でつなぐことができると思うと述べ、グレー氏はキーノートを締めくくりました。