大きな分岐点を迎えているメールマーケティング
90年代、顧客や潜在顧客に接触する手段として、多くの企業がメールの活用を開始した。会員登録を促してアドレスを収集し、メール配信システムでメルマガを一斉配信していた当時に比べると、チャネル横断的なアプローチや個々の顧客に合わせたシナリオ設計など、今日実現できることは格段に広がっている。
「企業におけるメールマーケティングは今、新たなフェーズに突入している」と、エクスペリアンジャパンの北村伊弘氏は話す。
アイルランドに本社を置き、世界90か国でサービスを提供するエクスペリアングループは、事業の4本の柱の一つとして信用情報や金融関連調査などとともに、マーケティングサービスを提供。日本法人であるエクスペリアンジャパンでは、消費者セグメンテーションデータ「Experian Mosaic Japan」をはじめとするデータ提供、データ分析・コンサルティング、そしてメール配信システムやキャンペーンマネジメントシステムなどのツールを、三位一体のソリューションとして提供しており、特に日本国内においては大手企業を中心に5,000件以上の支援実績を有している。
キャンペーンマネジメントシステム(CMS)によってチャネル横断的なアプローチが柔軟に行えるようになり、まるで一人ひとりの顧客と対話するかのようなシナリオ展開も自動で実現できるようになった。「メール配信システムでも、One to Oneのレコメンドメールなど多様なアプローチが可能ですが、CMSへのシフトは、高機能化によってさらにアプローチの精度が高まること以上に大きな意味を持ちます」と北村氏。
既存のメール配信システムとCMSの違い
「キャンペーンマネジメントの取り組みは、一つにはメールマーケティングの進化形として捉えられます。かつてのメルマガ一斉配信から始まって、性別などの属性ごとのターゲティングメール、それから相手に合わせてコンテンツを出し分けられるレコメンドメールと、メール配信も相当に発展してきました」と北村氏は振り返る。
今、それはCMSの誕生により、シナリオに沿ったアプローチ、さらにメールに留まらずクロスチャネルでのアプローチへと進化している。「メールを送った相手のリアクションに応じて、メール以外のアクションを取ることも可能になっています。いろいろなチャネルをひとつのシナリオの中で組み合わせ高度なマーケティング施策を実行できるというのが、現在のフェーズです」と北村氏。
既存のメール配信システムとCMSの違いを、もう少し詳しくみてみよう。CMSは、顧客マスターデータや購買情報、商品データなどを取り込んで一か所で管理するものだ。これまでサードパーティーで管理されていたデータの統合もできる。
そうして出来上がった統合マーケティングデータベースから、自由に対象の条件抽出を行い、コンテンツを作成・管理する。その結果のトラッキングまで含めた一連のアプローチ、すなわち「キャンペーン」を設定しておき、さらに顧客のリアクションに応じてどのような対応をとっていくかというシナリオを設計する。