データの“統合”と“連携”による広告運用プラットフォーム
前回までのおさらいをしてみます。第1回では、現在正式ローンチされたばかりの「ユニバーサル アナリティクス」で提供される「ユーザーIDコントロール」機能(現在はベータ版)によって、デバイスやブラウザをまたいだ訪問も“1人のユーザー”として計測し集計することが可能になりました。それによって企業は保有する顧客関連データと“ユーザー単位”で統合しやすくなり、統合によるデータ活用への期待が高まっています。
第2回では、アナリティクス内のキーディメンションとの紐付けによる独自ディメンションの拡張や独自のディメンションおよび指標の作成による外部データのインポート、それによって統合されたデータを活用したディスプレイ広告配信のターゲットセグメントリスト“リマーケティングリスト”の作成が可能になったことをお伝えしました。
そして、「BigQuery」や「DCM(DoubleClick Campaign Manager)」との連携によってGoogle アナリティクスはプライベートDMPとして機能し、大量のデータを活用した広告運用プラットフォームへ大きく進化したのです。
このように機能拡張によるデータ統合とGoogle アナリティクス プレミアムによるツール連携により、ディスプレイ広告を使って適切なユーザーに効率的にアプローチできる環境が整いつつあると言えます。
DoubleClickプラットフォームによる“プログラマティック・バイイング”
プライベートDMPによって統合されたデータを使ったマーケティング施策の中で、特に大きな期待をもって注目されているのがDSPによるディスプレイ広告(一部ビデオ広告も含む)配信です。DSPは広告在庫を持つSSPに接続され、RTBによって自動的にリアルタイムで広告の買い付けと配信を行います。このような広告売買を“プログラマティック・バイイング”と呼びます。
プログラマティック・バイイングを活用する主なメリットは以下のとおりです。
- 複数または1つのDSPから複数のアドエクスチェンジやSSPに買い付けをすることによって得られるリーチの拡大。
- 配信データとコンバージョン計測によって得られるデータをもとにした効果の最適化。
- 多様なデータによる多彩なターゲティング。
中でも“データに基づくターゲティング”に関して、前回記事でも述べたリマーケティングリストによるターゲティングとビッディングが注目されています。
ここではまず、Google アナリティクス プレミアムとの連携が可能なDoubleClickのプラットフォームであるDoubleClick Digital Marketing (DDM)の各ツールの中で、このリストデータを活用したプログラマティック・バイイングを実現させる仕組みを紹介します。