事業会社にとってのインバウンドデータとアウトバウンドデータ
まずは、2つのDMPのスタンスの違いを見てみよう。世の中にあるオーディエンスデータを大別したとき、自社で保有するインバウンドデータと、社外で発生するアウトバウンドデータに分けられる。

これを、オーディエンスデータの分類として、以下のようにあらわすことができる。
- インバウンドデータ:自社メディア(サイト、メールなど)接触で生成される自社保有データ
- アウトバウンドデータ:広告接点や、外部サイトなどの社外にある行動履歴
自社と接触のあったユーザの行動ログは、社内サーバへデータ蓄積することができるが、“あるユーザ”の自社接点以外の行動は、当然ながら自社では収集することができない。
まずは大雑把な理解として、インバウンドデータ≒プライベートDMP、アウトバウンドデータ≒データセラーDMPの領域と考えていい。
プライベートDMP、データセラーDMPにおけるオーディエンスデータの定義
各DMPにおけるオーディエンスデータの定義にも違いがある。それをまとめたのが以下の表である。

データセラーDMP
データセラーDMPのマスター・データベースは、インターネット上の訪問情報の名寄せ処理データベースである。仕組み上、属性情報の生データを持つことができない(第2回参照)。そのため、属性情報については予測ロジックで構築する。たとえば、主婦向けのコンテンツを日中に何度か訪問しているといったログから、性別、年齢の予測を立てるというわけだ。
行動ログは、3rd Party Cookieによる外部サイトの訪問履歴を持っている。これは企業にとってのアウトバウンドデータである。プライベートDMPが、自社保有データに限られるのに対し、企業が知りえない外部の行動ログということができるだろう。
プライベートDMP
プライベートDMPはサイトの登録情報を生データとして保持している。そのまま活用することが大半だが、購入履歴から家族構成を予測するといった、簡易ロジックを適用することもある。
行動ログは、企業データ3軸を中心に、CS(カスタマーサービス)の応対ログ、購買情報などすべての自社保有データが含まれる。深い行動分析をもとにした施策設計を行うことが可能だ。
2つのDMPのスタンスと定義の違いについて理解したところで、データセラーDMPで何が可能になるのか、その活用方法について解説を行う。