ツールやサービスの利用は見極めを
企業の規模や業種を問わず、リスク管理の必要性は増しているといえる。プロの力を借りる場合、数多くあるツールやサービスをどう選べばよいか。「モニタリングツールの場合は、リアルタイム性を重視することです。多くのツールは、様々なメディアをクロールして情報を取得するため、タイムラグが生じたり、処理の関係で早くても1日前の情報しか取得できない。これでは、トラブル時の対策が遅れがちです」と後藤田氏は解説する。
またテキストマイニング技術を使い、各種投稿がポジティブなものか、ネガティブなものかを判断するツールも多い。これらは安価で効率的だが、判断のベースとなる辞書機能はまだ不十分。精度的には3割程度なので判別ミスも多いという。
そして、目視で監視するサービスも多いが、モニタリング対象をクライアントが運営するメディアに限定するものも。この場合、メディア内の健全性を保ちたい企業には向いている。だが、企業そのもののリスク対策となると、必要なノウハウが変わってくる。エルテスでは過去の炎上事件約1500件をデータベース化。炎上に加担するブラックユーザー90万アカウントなどの蓄積による、コンサルティングを強みとする。このように、一口にモニタリングといってもさまざま。予算やニーズにあったサービスを見つけることが肝要だ。
社員の意識改革、カギは「自分事」
並行して、社員やアルバイトなどの意識改革も必要だという。例えば震災後、あるレンタルビデオ店の店長が「テレビはつまらないだろうから、ビデオを借りに来て」とネットに書き込んだ。また同時期に、「防災用品は当社で」と書き込み、「便乗商法」だと非難を受けた家電量販店店員もある。彼らに悪意はなかったかもしれない。しかし、結果として炎上してしまったため、企業には負のイメージがついた可能性もある。
「炎上事件のなかには、何気ない一言が波紋を呼ぶ『天災』に近いケースもあります。また一方で、『炎上したら、書き込みを消せばいいのでは』と軽く考える人もいる。必要なのは、日ごろの教育なのです」と安達氏は説明する。エルテスでは、WEBリスク予防の研修も行っているが、教育のポイントは、自分事としてリスクを考えてもらうことだという。極論だが『トラブルを起こした場合、会社は存続できるかもしれない。でも自分はどうなる?』という意識が予防につながる。
SNSが発達し、「攻め」だけでなく「守り」のマーケティングも必要になった2010年頃から、企業の危機管理のニーズは高まっていると言われる。エルテスは3月、記者会見のマネジメントなどを通じて、長く企業の危機管理に携わっている電通と業務資本提携を行うなど、その守備範囲を広げている。今後の企業の成長には、「攻め」と同様、鉄壁な「守り」も必要なのだ。
正しいリスク対策には、トラブルの「原因と結果」を把握することが重要です。
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