成功確度の高いセグメントを絞り込むことで、さらに効率を上げていく
カスタムオーディエンスを利用した施策では、Androidの未会員ユーザーに向けても広告を配信したが、他OSユーザー向けに比べてCPA単価とCVRが低くなったという。その理由について勝木氏は次のように述べる。
「Androidユーザーのほうが開拓余地が少なかったという理由が考えられます。それはFacebook側というよりも、弊社側の問題です。カスタムオーディエンスを活用する企業側が、データベースを分析してターゲットセグメントのスクリーニングを行うなど、工夫をしなければいけないでしょう。
いわゆるビッグデータと言われる、お客さまの属性情報、それぞれのサービスへの加入・未加入、来店の有無などのログを分析して、確度の高いセグメントに絞り込んだうえで、Facebookの機能を利活用していくべきです。そうすることで、さらに効率を上げていく余地は大きくあると考えています」

(右)同社 新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 木村理恵子氏
また、勝木氏は「企業側も、単純な純広を一斉配信して、インプレッション数の多さで勝負する時代ではなくなってきている」と指摘する。
「関心がない広告は、消費者は見ません。大きく目を引くようなディスプレイ広告を掲載したとしても、関心がなければ消費者は見ないし、見ても態度変容は起こさないでしょう。このような時代だからこそ、企業側も様々な手法を活用していく必要があります」
顧客に役立つ情報を提供し、好循環のビジネスモデルをつくる
KDDIは、5月に「au WALLET」という新サービスをリリースした。店舗やインターネットでの買い物に使うことでポイントが貯まる電子マネーサービスだ。約3,600万の個人顧客の基盤を活かし、携帯電話と「au ID」でネット市場とリアル市場をつなぎ、デジタルコンテンツ、電子決済、ネット物販、リアル物販、ポイント、物流などあらゆる流通を活性化していく。

「『auスマートパス』『au WALLET』は、お客さまへの新しい価値を提供すると共に、興味・関心にまつわる様々な役立つ情報を提供して好循環をつくっていくことができます。携帯電話は誰もが所有し常に持ち歩くものであり、さらにいつでもどこでもオンラインにアクセスできるツールなので、お客さまの日常をより便利に、より楽しいものにしていきます」
企業と消費者の間で、様々な情報のタッチポイントがある今日、いかにそのユーザー個人に関連性の高いものコンテンツを配信するかが重要になってきている。それを実現するために、テクノロジーを活用することが企業には求められている。
「これからはネット企業だけでなく、様々な業種の企業が、顧客へのアプローチ手段としてFacebook広告を活用していくでしょう。Facebook広告の機能・ツールに組み込まれた設計思想を理解した上で利用すれば、社員の人材力は上がっていきます。これからも難しそうだからとひるまずに、Facebook広告をはじめ、最先端のマーケティング手段に取り組んでいきたいですね」