Association of National Advertisers(ANA)は今年3月、153人の広告主サイドのマーケターを対象に、メディアバイイングに関する調査を行った。その結果、半数近くが、メディアエージェンシーとの取引で透明度に懸念を感じている。
広告主が挙げた主な問題点は以下のとおり。
・デジタルメディアへの配信数 vs インプレッション
・メディアがエージェンシーへ支払う手数料
・アドプレースメント(フリクエンシーキャップ、不適切なコンテンツ、広告量のシェア、ファーストビューかどうか)
・オーディエンスターゲティングを定義するために使われるデータの可視性の不足
こうした懸念が昨年より「増した」と答えたマーケターは42%、「減った」は13%で、年々懸念は増しているようだ。
今回は、プログラマティックバイイングの受容に関する調査も行われた。過去にプログラマティックバイイングを利用したマーケターは54%。最も利用しているのは「オンラインディスプレイ広告」(77%)で、「オンラインビデオ広告」(41%)が続いている。一方、マーケターの46%は利用経験がなく、来年利用を計画していると答えたのは18.5%となっている。
重要なのは、4分の1のマーケターが、インハウスで、プログラマティックバイイングの管理・監視、あるいは実装できる能力を拡大しようとしている点だ。13%がそうするかどうかを検討している最中だという。その際の障壁となるのは、やはり透明性の問題で、「ターゲティングデータの可視性」(49%)、「アドプレースメントについての理解」(43%)が主な課題となっている。
しかし、先進的な企業はアグレッシブにプログラマティックバイイングへの道を突き進んでいる。今年5月、AdAgeは、アメリカン・エキスプレスがオンライン広告予算の100%をプログラマティックバイイングのチャネルに移す予定であると報じた。同社は米国で9番目に大きな広告費を投じている企業だけに、そのインパクトは大きかった。
そして6月、AdAgeはP&Gも米国のデジタルメディアの買付の70~75%をプログラマティックバイイングにゆだねる方針であることを報じている。世界最大の広告予算を持つこの企業は、来年にもモバイル広告のバイイングをプログラマティックバイイングにシフト。オークションベースで広告取引を行い、ウェブを横断して特定のオーディエンスにリアルタイムに広告を配信するシステムに移行する。
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