女性ファッション誌『CanCam』は、2014年6月28日(土)~7月6日(日)までの9日間、「シェアする暮らし」をテーマに、ユニークなプロモーション企画を行っています。ソーシャルアパートメント「Canハウス」で、5名のCanCam読者とモデルが実際に共同生活をし、その様子を動画やSNSで共有。彼女たちの生活を通して、CanCamが提案するライフスタイルと、協賛企業の商品・サービスについて、リアルな声で発信していくというもの。
SNSを生活の一部として使いこなし、発進力や拡散力を持っているCanCam世代の女性たち。彼女たちが普段身を置いている「暮らしそのものをメディアと捉えた」企画です。
今回は「Canハウス」を企画した小学館と、ソーシャルアパートメントを運営するグローバルエージェンツのみなさんに詳しいお話を伺ってきました。
なぜ、今回の企画を行おうと考えたのでしょうか?
井上:これまでも、モデルに会えるといったイベントは行ってきました。しかし、媒体主催でのハコモノのプロモーションは読者にも、広告主にも訴求が難しくなってきています。というのも、SNSの普及で、読者とモデルとの距離が近くなったからです。でも、これは見方を変えれば、情報を自ら発信したり拡散する彼女たちの生活自体がメディアだといえます。そこで、生活の場「Canハウス」を用意することで、参加メンバーから読者たちに向けて、リアルな情報発信ができるのではないかと考えました。
永川:また、雑誌自体もシフトしてきています。ファッションやビューティーといった情報だけでなくライフスタイルまで提案して、文脈をもって読者に深くリーチしようという方向です。なので、モデルや読者の生活そのものをコンテンツにしたことで、「広告媒体の幅を広げる」、「CanCamの魅力を深く伝える」、という2軸での挑戦をしています。
なぜ、暮らしの場をソーシャルアパートメントにしたのですか?
永川:読者の生活に対する意識の変化を反映しました。今の30代以上は早く親元を離れて、一人暮らしをしたいという志向がありました。でも、今は実家に住んで、自由になるお金があればいい。もしくは一人暮らしを超えた経験をしたい、というニーズがあります。ソーシャルアパートメントは後者のニーズに合うのではないかと考えました。
永砂:ソーシャルアパートメントは個人の居住空間を確保したうえで、付加価値として共用スペースやコミュニティを得られるというものです。
高梨:おしゃれな部屋に住めて、一人暮らしでは作れないコミュニティでいろいろな体験ができて、それをSNSなどで発信できる。そんな暮らし方がCanCam読者の理想にマッチするのではないかと思います。
一般読者のかたも参加されるんですよね?
井上:はい。誌面で参加者を募集しました。100名以上の応募があって、どなたの応募用紙にも、とても熱心な気持ちが書かれていました。その中から、5名に参加をお願いしています。雑誌はどちらかというと、作り込みをされた世界です。一方、今回の参加メンバーはCanCamの提案に賛同して実践をしてくれています。彼女たちの暮らしにフォーカスすることで、雑誌とは違うリアルで濃い時間が読者に提供できればと思います。
永川:読者の世代は広告的なものに非常に敏感です。恐らくCanハウスのメンバーがモデルだけだと、演出だと受け取られるかもしれません。読者とモデルが体験を伝えることで、見ている側も「本当にやっているんだ」と驚きや感動を体験する。その気持ちを、今度は読者が横に広げる、そんな展開になればと思っています。
今回、参画される企業が多岐にわたりますが選定の基準は?
井上:リアルさを追求するために、参加企業を決める前に、まずは彼女たちの9日間の生活を考えました。きっと飲み会をしたり、写真を撮ったり、週末にでかけたりすると思います。その生活軸のなかで、自然に登場できる企業に声をかけました。
永川:商品やサービスの紹介自体も、できるだけ生活に馴染むように準備をしています。
井上:タイアップ企画と編集企画の境目をわからないようにしている。これが、今回の企画の特徴ですね。
今回の広告は新しい試みとのことですが、参加企業の反応は?
井上:第一声は面白いといってもらえるのですが、でも効果測定は?という指摘が多かったです。これまでやったことがないプロモーションなので、着地点が見えないのも事実です。参加企業とは、「まずはやってみて結果を見よう」と一緒に挑戦をしている感じです。
永川:毎日Canハウスの様子を動画毎日で公開します。その数字から動画の力がわかれば、広告のセールスとしても、雑誌の企画としても、次の戦略が立てられるかと思います。なので、我々も今回の試みは、第一歩と位置付けています。
時代の変化に合わせて雑誌として、広告媒体として挑戦を続けているのですね。本日はありがとうございました。