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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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デジタル時代のブランド育成方法、無印良品が進める絆づくりとは?

MUJI DIGITAL MARKETING1.0~3.0の軌跡

 話をデジタル戦略に移しましょう。

店舗vsオンラインの1.0

 当社がオンラインショップを立ち上げたのは2000年です。当時はまだ店舗が少なかったこともあり、近くにお店がある人はお店、そうでない人はインターネットと、店舗とオンラインショップの戦略は別々のものでした。

 そのため、オンラインショップの売上が伸びて、店舗の売上が落ちると、社内的には「店舗のお客がオンラインショップトに取られている」となります。商品カタログの巻末にはオンラインショップの案内が付いていますが、それを切り取る店舗も現れました。だから、あまりうまくいかない。数年はオンラインでの売上も会員数も横ばいでした。

ネットとリアルの関係が見えた2.0

 戦略を変えたのは2003年の秋頃です。当時実施したアンケートによると、オンラインショップ利用者の6割はオンラインでの購入経験がないと回答がありました。この人たちは何をしているのか調べたところ、51%は「事前に商品をチェックする」ためにサイトを訪れていました。購買行動は、店舗とオンラインショップを「行ったり来たり」しながら行われてることが分かったのです。

 インターネットで調べてお店で買い、使い勝手をコミュニティに投稿する。店舗でソファの座り心地を確認し、家で採寸してネットで購入する。というように、店舗とオンラインショップは対立するものではなく、むしろ相乗効果を発揮するものでした。それ以降、お店で会員誘導をし、取得したメールアドレスに、店舗で使える10%割引クーポンを配信するなどの施策を展開しました。いわゆるOtoOを意識した施策です。この時はまだ、オンラインからオフラインへの一方通行の施策でした。

 このキャンペーンを行うことで、店舗の意識も変わりました。ネット上のコミュニケーションが店舗に還元されることが分かったため、積極的に会員を増やそうという動きに繋がったのです。またネットで注文した商品を店舗で受け取るサービスも作り、ネット上の購買が店舗売上につながる仕組みも作りました。

生活者に寄り添う3.0

 2000年代後半から、時代はさらに変化しました。SNSが広がり、スマホなどのデバイスも普及され、目にする情報が増え情報過多ともいえます。モノも溢れています。生活者は膨大な商品の中から、わずかな差異を見極めて、好きなものを選ばねばならない時代になりました。

 コミュニケーションデザイナーの河野武氏は、このような状況で、企業が生き残るには「最高」「最安」「最愛」のいずれかの戦略が必要だと述べています。「最高」はApple社のようなイノベーティブな商品をつくること。「最安」はどこよりも安い商品をつくることです。当社の戦略は「最愛」に当てはまると思います。ブランドの考えをしっかり表明し、それに賛同する人に愛して頂く。みんなに愛されるのではなく、特定の人にとって最高であるという戦略です。

 「最愛」戦略をとる企業にとって大切なのは、購入前後のお客様の声にも耳を傾けることです。最近は、友達の評価が購買行動につながるケースが増えました。SNSで友達が「評価」したものを「検索」し、来店して商品を手に取る。店舗かネットで商品を購買し、コミュニティに参加したり感想をツイートしたりする。一方的にメッセージを投げかけるだけでなく、どうしたらブランドとお客様との間に会話を構築できるか。それを考え抜くのが「3.0」時代の課題です。

最愛戦略では購買前後が重要
最愛戦略では購買前後が重要

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「意思」を伝えることが大切

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/11 11:00 https://markezine.jp/article/detail/20386

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