テスト、テスト、テスト…そしてチャンピオン決定!
実際の結果は、下の図のようになりました。
まずベースに「他社にないお得感を強調案」がありました。訴求ポイントは「貯蓄性の高さ」。これに「商品のコストパフォーマンスの高さを会話で強調する案」をぶつけてみたのです。
訴求ポイントは「保険の見直しの促進」。ターゲットは、前者が20代後半~30代OLおよび男性、後者が20代後半~40代男女。前者の方がターゲットが絞り込まれており、結果は良好でした。ここから、訴求ポイントがより直接的・明確で、ターゲット層において活用イメージがダイレクトに連動できる方が良いクリエイティブであると予測できるようになったのです。
次に、第二週では「安くてお得」というさらにダイレクトなメリットを強調し、なおかつ20代後半~30代主婦というターゲット層に「メリット的に連動しやすいイメージ」のクリエイティブをぶつけてみたのです。
前者では、「安くてお得」感を説明するために、保証・積み立て両面で他社より優位であることを、ターゲットである主婦の言葉でわかりやすく説明したのですが、訴求ポイントが多く、キャッチコピーも「会話」であるためにややインパクトに欠ける面がありました。そのためもあったのか、これまでの3案の中では一番CPR単価が高くなってしまったのです。
一方、「ガン」という特定疾病用のプランが用意されているのもこの商品の大きなポイントであることから、商品全体の特性を訴求する案とは別に、このポイントだけの案も別枠で検証することになりました。
そこで、業界内でも初めての「画期的な商品であることを強調する案」と、ガン保険プランでありながら「貯蓄性も合わせ持つユニークさを強調する案」を用意。先のWinnerである「他社にないお得感を強調案」と直接対比させることにしたのです。
結論的に言うと、最終的に勝ち上がったのは、最初の「他社にないお得感を強調案」でした。これをチャンピオンCRとして中央紙で展開することになったのです。
ただし、これでこの検証プロジェクトが終了したわけではありません。スプリットラン・テストを通して判明した各案の「強み」を徹底的に再検証し、これをチャンピオン案に組み入れることによって、真の最強案を作り出していったのです。しかも、その過程でロゴや商品のネーミングに対しても消費者の意見を反映させることを試み、より数字を上げやすい環境を作り上げたのです。
その結果は、電通ワンダーマンが関わる前と比べて、CPR単価で何と10分の1まで改善させることに成功しました。
このプロジェクトはあくまで新聞という媒体を通して行ったものですが、Webサイトにプラットフォームを代えても、その骨子はまったく変わりません。さらに、CPRからオーダーベースのCPOへ、より有効な数字を確保するためにノウハウも進化しています。
Webマーケターの方々から見れば、まどろっこしく感じられるかもしれませんが、LPO/LCOも基本的な考え方は同じです。不確かな「感覚」から、確実な「理論とデータ」へ。成功するためのクリエイティブとは何か…私たちの唱える「Strategic Designing」のカタチは、このような継続的な作業フローによって、常に進化し続けているのです。