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宣伝費ゼロで合計300万DL突破アプリの施策裏話

きっかけは妻のある行動 宣伝費ゼロで合計300万DL突破!「My Heart Camera」「Pico Sweet」ができるまで

どうすれば口コミを喚起できるのか

 2年半のアプリ開発で、写真加工アプリに必要な技術も習得し、レッドオーシャンながら、「ハートのスタンプに特化」という特徴でマスに訴えかけるという大まかな方針も決まりました。

 とはいえ、潤沢な開発費や宣伝費があるわけでもないので、大衆(マス)の支持をあつめるために、アプリがどうやって口コミされるかを徹底的に研究し、それを実現するための知恵を絞りました。主なアイデアを先に示すと、次のとおりです。

  • ひと言で他人に伝えられるコンセプト
  • バズを誘引するユニークな機能
  • 競合の差別化になるデザイン
  • AppStoreでの表示の最適化
  • お金をかけないさまざまなPR方法
  • バズの無限コンボ

 今回は、コンセプトと、ユニークな機能、差別化のためのデザインについて説明します。

 ではまずコンセプトづくりから。

 「My Heart Camera」のコンセプトは「ハートのスタンプに特化」というものです。機能面では競合と比較されてしまいますし、機能をことらさら訴求すると「写真を撮ったりアルバムの画像にフィルターをかけたり、ハートのスタンプを貼付けられたり、SNSに投稿できるアプリ」と、説明が長ったらしくなります。

 あまり多くの機能説明をしてしまうと、「難しそう」「なんだか面倒だな」といった印象を持たれてしまいかねませんので、わかりやすい特徴にフォーカスする方向で考えていきました。

 「ハートのスタンプに特化」という点をユーザーがどう友だちに伝えるかを想像して「ハートでデコれるアプリだよ」と、ひと言で伝えられるようにコンセプトを固めていきました。そして、すべてのスタンプ画像に必ずハートを描くというルールも徹底されました。

思わずほかの人にいいたくなる、ネタ機能をつける

 アプリの周知において、レビューサイトやリアルな口コミのシーンを意識すると、少し尖った、目立つ機能が有用な武器になることがあります。気持ち悪いものでも、なぜかクセになるような仕掛けがあったり、少しの労力で友だちに自慢できたりする、といったものです。

 そこで、私たちのアプリづくりにおいて重視しているのが、本筋とは異なるけれども「思わず試したくなり、試したら人に言いたくなる」話のネタになる機能です。

 このネタ機能は、口コミを喚起するための演出的に優れたものであれば、何でもいいです。特に目立った技術要件は必要なく、ほかのアプリにある機能でも目立っていないものや、まったく役に立たないようなものでもかまいません。

 「My Heart Camera」のコンセプトは、ハートのスタンプに特化したものの、他のデコアプリより機能は少ないので、埋もれてしまうことを懸念しました。そこで考えたネタ機能が「iPhoneをハート(胸)に近づけて、お祈りすると勝手にデコってくれる」というオートデコ機能です。

 これは、端末の近接センサーを使っていて、実際には胸に近づけなくても動作します。手などで端末の画面を隠すだけでランダムにスタンプが配置される仕掛けになっています。技術的には特段難しいわけではありません。

 ただ、おみくじ的な要素もあるので、発案当時は、女性だけでなく、女性の気を引きたい男性にもPRをしてもらえるのではと期待しました。イタリアの伊達男たちがガンガン広めてくれる夢も描いたりして(笑)。

 お祈りすると勝手にデコってくれる、オートデコ機能から「思いが伝わるデコアプリ」というキャッチフレーズもできあがり、ハートカメラのコンセプトを強化する役割を果たしました。

 公開後は、多数のレビューサイトにご紹介いただきました。とくに、人気レビューサイトのAppBankさんでは、動画付きでオートデコ機能を記事にしていただいています(『My Heart Camera: 可愛いハートのデコ素材がいっぱい!自動編集機能が便利でおもしろい。無料。』,AppBank)。

 ユーザーの信頼を得て、PRしてもらうためには、こうした飛び道具のようなネタ機能が有効です。しかし、ネタ機能はあくまでも口コミ用のネタなので、本来アプリが提供するメイン機能がしっかりしていて、ユーザーに信頼されないことには効力を発揮しづらいですので、その点はご注意ください。

次のページ
競合との差別化になるデザインを模索

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/20590

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