クチコミを誘引するタネをまく
そもそも、お金をかけずに短期間で膨大なインストールを稼ぐことは非常に難しいです。唯一方法があるとしたら、それはクチコミです。一旦火がついたときのバズパワーはお金をかけたプロモーションと同等以上になります。
クチコミは計画的に狙ってできるものでありませんが、それでも引き出しやすくする施策はできるはずです。
さきほど取り上げた、レビューサイトへのプレスリリース、予約サービスの活用なども、そのためのタネです。私たちは、常にバズのタネをまき続けるのです。常に情報を発信し続ける事が大事です。
たとえば、友人が作ったアプリは、内容に興味がなかったとしても、全く知らない人が作ったアプリよりダウンロードしやすくなりますよね?
一度でも「見たことがある」「聞いたことがある」アプリは、ぐっとダウンロードされやすくなります。1度目のPRでは効果がないことでも、もう一度違うシーンで見たら、今度は印象が変わるということもよくあります。
タネをまくということでは、自分のTwitterやFacebookなどで告知するのも効果的です。それを見た人、もしくはそのご友人がインフルエンサーであれば、それは1人に伝わるのではなく、何百、何千人にも伝わる可能性があるのです。どんなバズも始まりは小さな点から始まります。
ここで注意したいのは、毎回代わり映えのない内容で投稿してしまうことです。プライベートなコミュニティでPR色が強いものは嫌がられる原因になります。作った経緯や苦労した点など、相手の方にとっても有益な情報を交えて投稿するようにしましょう。
お金をかけたプロモーションと、お金をかけないプロモーションの差は、ずばりスピードです。お金をかけたプロモーションは、さきほどあげたバズのタネをいっぺんにバラまいているに過ぎません。
やっている内容はそんなに変わらないはずです。PRの内容やアプリの内容がそもそもよくなければ、結局は無駄になってしまいます。
写真加工アプリ、実はブルーオーシャンだった!?
「My Heart Camera」は、公開してすぐにランク上位に駆け上ることができましたが、あまり持続せず、日々のダウンロード件数は減っていきました。
そこで機能を改善した新アプリを提供してみようということで、「Pico Sweet」の企画がはじまりました。
「My Heart Camera」は、競合ひしめくレッドオーシャンの隙間を狙った、1点突破型のコンセプトでしたが、新しいアプリとなると、もっと多くのユーザーを獲得したいと欲が出ますね。そして、競合のアプリをいろいろと研究しているうちに、新たな市場を見つけました。
先達の競合アプリを見てみると、かなりよくできていて、機能も豊富でかわいい。でも、それは、能動的に「デコってやるからね!」という“デコエリート”とでもいうべき、デコ界のトップ・オブ・トップのヘビーユーザー層を満たすものだったのです。
私たちは、普通の女性である川野辺くんの奥さんを元にしたペルソナ設定により、徹底した一般ユーザー視点での企画立案を行うようになっていました。
そこで、「デコりたいけど面倒」「デコにあこがれているけどセンスに自信がない」というライトな一般層に対するアプリが少ないことに気づき、従来の写真加工アプリのパイを奪うのではなく、パイを広げる戦略を考えました。
ちょうど、ファッションでいうと、高級ブランドにあたるアプリはたくさんあるけれど、だれもが手を出すものの、着こなすのは難しい。
それなりにお洒落で、気軽に手に入れられる、ファストファッションにあたるアプリがなかったということですね。
こうして、「Pico Sweet」では、簡単にデコれるテンプレート機能を「ワンタッチでアートができる」というコンセプトにし、アレンジしたテンプレートをほかのユーザーとシェアできる「デコシェア」というユニークな機能もつけて、無料のテンプレートが無限に供給される状況を作り出しました。結果、「My Heart Camera」を上回る成績となり、ストアでも上位のランクをキープできるまでになりました。
この“超一般ユーザー視点”で考えると、写真加工に限らず、まだまだたくさんのカテゴリのアプリに改善の余地があり、私たちの力を発揮できるという自信を持つことができるようになりました。
レッドオーシャンにイカダで進水し、やいのやいのとガムシャラに漕いでいるうちに風にのったらブルーオーシャンにたどり着き、イカダもちょっと補強されていた……みたいな気持ちです。
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