スマホ広告市場は普及台数や利用率に比べて伸びが鈍い
高瀬:今年2月に電通が発表した「2013年(平成25年)日本の広告費」によると、インターネット広告費は前年比108.1%で9,381億円に達したそうです。中でも運用型広告は、前年比121.6%の4,122億円と大きく成長しています。この理由としては「アドテクノロジーの進化」や「スマートフォン/タブレットの普及拡大」などの要因が大きいでしょう。 そこで本日は、DSP事業社のパイオニアであるフリークアウトとスケールアウトのお二人と共に、スマートフォン広告市場(以下、スマホ広告市場)の現状について議論したいと思います。
佐藤:フリークアウトの佐藤です。弊社は国内DSP事業の本格化を目指し、設立しました。現在はDSPのほかDMP、モバイル向け広告製品を提供しています。
高瀬:今年6月には東証マザーズに上場なさったとのこと、おめでとうございます! 佐藤さんはスマホ広告市場をどのようにごらんになっていますか。
佐藤:ありがとうございます。スマホ広告市場に関していうと、RTBについては思ったほど伸びていないのが現状ですね。ただ出荷台数やネットのアクティビティにおいて、スマホはすでにPCを抜いていますし、 品質の高い広告枠も増えているので、今後大きく伸びると思います。特にスマホの場合、PCと違って接触頻度が非常に高いこともあり、期待したいところです。
宮本:スケールアウトの宮本です。僕はインターネット広告代理店を経てmedibaに入社して5年になりますが、昨年8月のmedibaのスケールアウト社買収により、現在はスケールアウトの事業にコミットしています。ご存じのようにmedibaはKDDIグループの一員として、KDDIグループのオーディエンスデータを基盤とした広告配信ソリューションを展開してきましたが、スケールアウトの買収によりDSP/DMPを合わせた総合力を背景に事業を強化していく方針の下、事業全体を統轄しています。
高瀬:御社におけるスマホ広告の伸びはいかがですか?
宮本:市場全体で見ると、やはりPCの方が多いですね。スマートフォンの利用率や普及台数は確かに伸びていますが、DSP事業者の観点で見ると、PCとスマートフォンでは技術的な違いがあること、さらにアドネットワークが依然として強いという特徴があります。ただ、2014〜15年にかけて、今の状態から大きく変わってくると期待しています。
スマホ広告の効果は、PCの指標では測れない
高瀬:スマホ広告市場は新しい分野でもあり、期待と共に多くの課題があると思います。お二人は、スマホ広告市場の課題や、現状で不足している要素について、どのように考えていらっしゃいますか?
佐藤:ネイティブアプリ広告枠では、PCブラウザを中心としてきたパブリッシャーには馴染みにくく、良いパフォーマンスが出せないようです。また広告主サイドも、スマホ最適化されたランディングページの開発やスマホから獲得した顧客とのリテンションという点で準備が足らない面もあります。こうした課題に対しDSPだけでできることは限界がありますね。
高瀬:運用側の我々も同じ問題意識を持っています。PCと異なり、スマホはメディアサイドの準備が整う前から低CPMで市場が形成されたので、PCの広告指標からするとスマホ案件はどうしても安価になってしまいます。それにスマホの場合、PCにはないリアルタイム性とロケーションという特性があるので、運用の仕方も違うんです。PCの運用メソッドをスマホに適用しても求めるパフォーマンスに届きませんし、またPCの広告指標を基準にすると非常に低く見られるので、結局「アドネットワークで安価に回せばいい」となってしまう。スマホの特性に合わせた広告指標の早急な策定が必要だと思います。
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