インストリーム型動画広告枠のマネタイゼーション
次にインストリーム型動画広告を効率的にマネタイゼーションさせるために、押さえておかなくてはならないポイントを整理します。
マネタイゼーション方法の設定
自社の動画ストリームを効果的にマネタイゼーションするためには、複数の販売方法を効率的にコントロールする必要があります。現在動画広告の販売方法には、大きく分けると予約型による販売とRTBによる販売の2種類があります。
予約型とはその名の通りあらかじめ決められたインプレッション数と単価で取引する方法です。いわゆる純広告と呼ばれる広告枠の売買と似た取引方法となります。
この場合、メディア側はあらかじめ販売する金額とインプレッション数を確定することができるため、事前に収益を確定できる点がメリットとなります。デメリットは単価が決められてしまっているため、RTBを活用した際のように大きく単価を高めることができないという点が挙げられます。
RTBの場合は、広告単価と配信量は広告配信後に初めて確定されるため、得られる収益を確定しにくいというデメリットがあります。一方、広告主の量が増えれば広告単価が高くなる場合もあります。
フロアプライスの設定
上記の予約型の動画広告とRTBを効率的に組み合わせるためには、両方のCPMをリアルタイムでモニタリングをし、単価の高い広告の配信が求められます。その際にキーとなってくるのがフロアプラスの設定です。フロアプライスとは最低入札額を指します。
RTBを通じたバイイングは単価が安くなると思われがちですが、適正なフロアプライスを設定することにより、単価を安定させることができます。また動画専用SSPを使用する事で、予約型の単価とRTBの単価を自社メディア内でビッディングを行い、競わせることでより高い単価の広告を配信する設定も可能です。
フィルレートの管理
もう1点重要なのがフィルレートの管理です。フィルレートとは広告在庫に対してどれだけ広告が入っているかというレートを指します。フロアプライスを上げすぎるとマッチする広告が少なくなり、フィルレートが低下します。
逆にフロアプライスを下げ過ぎても、フィルレートは上がるが安く在庫が購入されてしまうため効率的なマネタイゼーションはできません。この関係を理解して適切な単価とフィルレートを運用で探していくことが求められます。

逆にCPMを上げすぎてもフィルレートは低下してしまう。
この関係を理解してリアルタイムで運用を行うことが重要
動画SSPを使用するメリット
動画SSPには配信サーバーを使い、予約型の広告配信メニューをつくる機能と外部のDSPと連結して動画ストリームをマネタイゼーションする機能が整っています。
しかもフロアプライスの設定とフィルレートのモニタリングがリアルタイムでできるため、今後動画ストリームのマネタイゼーションには欠かすことのできないツールとなってくることでしょう。

メディア側にとっても大きなチャンス
これまで何度も注目を集めながら定着しなかった動画広告ですが、昨今の状況では広告主サイドの出稿量の増加、動画広告に適したソリューションの登場、そしてスマートデバイスの発達と回線の高速化により本格的に市場拡大する兆しが見えてきています。
そしてビジネスモデルが確立され、インターネット上にさらに動画コンテンツが増えていくことで、メディア側としては収益面だけでなくユーザーとの新しいコミュニケーションを築くための1つの手段として定着していくでしょう。
メディア側がこの機をとらえ、最適なソリューションを活用して動画広告を運用することができれば大きなビジネスチャンスとなるでしょう。