登壇者182人のうち、120人が新人
友澤:まずは、アドテック東京おつかれさまでした。僕も登壇させてもらいましたが、今回新しく設けられたプレデイ(16日)のセッションも盛況でした。昨年の来場者をさらに上回ったそうで、全体の印象としては、海外の方が増えたように感じました。
武富:そうですね、外国人の来場者はたしかに増えましたが、それ以上に英語を話せる日本人が増えたことが大きかったと思います。海外からの出展社ブースの滞留時間が長くなって、紹介しているサービスについて特に20代の若い人や女性など、積極的に尋ねている様子がありました。
友澤:公式セッションでは、何を置いても初登場のスピーカーが目立っていました。初めて登壇する方の割合は、かなり多かったのではないですか?
武富:ええ。メディア系や経営者など、182人中120人、新しい方に出ていただきました。これが、今までのアドテック東京と最も大きく違うところですね。なぜそうなったかというと、公式セッションをすべて、当社に転職して間もない25歳のスタッフに一任したのです。
友澤:なるほど、そういうことだったのですね。
武富:僕を含めて業界経験が長いと、良くも悪くも独自の知見を頼りにしてしまいますが、彼女はやったことがないから、アドテック東京のマニュアル通りにやりますよね。新人優先で、前回の評点が一定以下の方には遠慮いただく、レジュメを期日通りに日英で出した人がポイントが上がる、などの決まりごとに忠実に進めた結果、大幅に新人が増えたのです。
「これからどうすべきか?」本質的な議論に注目
友澤:人気セッションランキングで1位を獲得したエステーの鹿毛康司さんがモデレーターを務めた「マルチスクリーン時代のクリエイティブ」は、ニフティの林雄司さん、博報堂ケトルの嶋浩一郎さん、LINEの谷口マサトさんの3人ともが初登壇で、それだけで話題でした。
武富:鹿毛さん自身が優秀なマーケターですが、その視点で自分が今聴きたいセッションを企画されたんですよね。
プラットフォームもクリエイティブもコモディティ化する中で、インターネットは完全にインフラになったので、デジタルに過剰に寄っていない人のほうがむしろ強いのかもしれません。イノベーションは、あとから来た人のほうが有利ですから。
友澤:公式セッションのテーマも、デジタルにとどまらずにデジタルとテレビの関係や、コンテンツに関するテーマが多かったと思います。以前は評価が高かったツールや事例紹介よりも、もっと本質的なテーマがより支持されていました。海外はこうだが日本はどうすべきか、なぜできないのかといった、議論のセッションが評価されていました。
武富:新たな試みとしては、“対決セッション”を実施しました。売れるネット広告社・加藤公一レオさんが登壇した「実践的A/Bテストのススメ」の座組みをつくるとき、彼に対決したい人を募集したんですよ。これは相当の勇気が要ります、負けたらぼろぼろですから。
そこで、博報堂DYメディアパートナーズの宮腰卓志くんが手を挙げた。これがなかなか、いい戦いになったんです。対決モノは、僕は昔からやりたかったんですが、日本人は苦手なんですよね。