SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

事例で探る!デジタル時代の「共創マーケティング」

発売から売上30%増を継続!生活者が商品化を決める西友のPB「みなさまのお墨付き」成功の秘訣とは?


お店に並ぶ商品が不合格になることも?変わる生活者の嗜好

――力を入れて開発した商品が消費者テストを通らないのは、くやしいことだと思います。

本間氏:そうですね。でも消費者テストは合格させることが目的ではありません。極論ですが、落ちたからいいものができることもあります。とはいっても、1つの商品の開発には半年から1年ほどかかります。開発メンバーは親のような気持ちで見守っていますね。時に厳しいコメントは辛くもありますが、それを糧に次の改良で合格を目指します。

 ちなみに、テストに合格して商品化したあとも、およそ1年半から2年ごとに再度消費者テストを行います。理由は時代によって求められる味が変わってくるからです。例えば、一時期流行したものに濃い味緑茶があります。当然、「お墨付き」のラインナップにも加わっていました。しかし、最近行った再テストで不合格となってしまいました。現在、チーム内で改良か、別商品の入れ替えかを議論しています。テストを通して、市場のトレンド変化を掴むことができるというわけです。

 また、テストをすることで地域の嗜好にも対応できます。関東では合格したのに関西では落ちる、といったケースもあるからです。その場合は、関東のみで販売することもあれば、地域で異なる味を販売することもあります。他にも、牛乳は地域によって製造する工場が異なるため、地域ごとに消費者テストを実施して、お墨付きをもらったうえで商品化しています。

年内目標アイテム数600、メーカーでは出せない商品展開を

――ブランドのKPIとして何を評価されているのですか。

本間氏:売上と利益です。売上は先ほど触れたように、前年比で30%を超える売上増を維持しているので順調といえます。ダイレクトに反応が売上に返ってくるのは、面白いところです。

 売上と利益をさらに成長させるためにはアイテムを拡大していくことが重要です。「みなさまのお墨付き」は2013年に約300点まで拡大しました。2014年はその倍である約600点を目標にしています。今のペースでいけばクリアできそうです。西友の取扱商品は、メーカー商品・ウォルマートのグローバル調達網を活用した直輸入商品・プライベートブランド商品の3つで構成されています。このバランスが重要ですが、競合では取り扱いがなくて価格と品質のバランスが良い、プライベートブランドに対するニーズが高まっていると感じています。

――最後に今後の展開について教えてください。

本間氏:アイテムを増やしていくことが目標ですが、今後はメーカーが出していない商品に力を入れていきたいですね。現在、メーカーで商品化しなかったものをお墨付きとして出しませんか、とお声がけして提案をいただいたりもしています。

 また、モニターテストについては、これまでアンケート用紙に手書きで回答してもらっていました。この方法だと集計が大変で時間もかかります。最近、iPadで入力してもらうようにしたところ、すぐに集計結果が出るようになり開発スピードが上がりました。今後は収集した声をデータベース化して、商品開発の時点で参照できるようにしたいですね。実際に食べた感想ですから、データにすることで味の嗜好の変化、年代別の違いなどを分析することもできると思います。

 昨年にはTVCMを放送したこともあってブランド認知度も上がり、商品への評価も高くなっています。今後もコンセプトに忠実に、お客様との共創で商品を展開していきたいですね。

自社が取り組むべき共創マーケティングとは?

 日本企業の7割以上が「顧客満足」「お客様第一主義」など、お客様優先の企業理念を含んでいるそうです。しかし、企業が商品・サービスを作る中で生活者が意思決定をするプロセスを、1つでも取り入れている企業はどれくらいあるでしょうか。

 共創マーケティングに取り組む上で、「企業が生産者として商品・サービスを作り、消費者はそれを消費する。」というパラダイムを見直す必要があります。しかし、パラダイムを見直す上では、ただやみくもに消費者に任せるのではなく、自社の事業戦略や企業理念に応じた共創マーケティングを考える必要があります。多様な商品を開発して、その評価を消費者に任せ、消費者のお墨付きであることを店頭などで伝えることでブランディングを図る。今回の取り組みは商品を作るメーカーではなく、多種多様な商品を作り、店舗販促を実現しやすいプライベートブランドだからこそ成功した共創の形だといえます。

 みなさんの会社がよりお客様に貢献するためには、どこを共創しますか? 次回はその戦略の立て方をご紹介します。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
事例で探る!デジタル時代の「共創マーケティング」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

宮本 昌尚(ミヤモトマサナオ)

 株式会社トライバルメディアハウス 共創マーケティング部 部長。アクセンチュアのITコンサルタントを経て現職。ソーシャルメディアの黎明期から、ソーシャルメディアマーケティングの戦略策定や、オウンドメディアのソーシャル化支援、リスク対策、国内外のFacebookページ構築運用支援のプロジェクトマネージャーを勤める。その後、共創マーケティング部を立ち上げ、コミュニティの戦略策定から商品の企画提案を担当。過去に担当したクライアントはキリンビール、KFC、P&am...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

深谷 歩(フカヤ アユミ)

株式会社 深谷歩事務所 代表取締役
ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。深谷歩事務所公式サイトhttp://officefukaya.com

著書に 『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)/ 『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム)
『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)/ 『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2015/01/27 10:37 https://markezine.jp/article/detail/20985

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング