チラシはいらない、ティッシュは欲しい
よく街頭でティッシュ配りしているのを見ますが、あれって“チラシだけではとってくれない。それだったらティッシュにして配っちゃえ”という、日本が発明したイノベーティブ広告のさきがけですよね。
ただのチラシに、ティッシュという“使える機能”を持たせたことで、受け取ってもらえるようになる。
受け手側の目的は、“ティッシュ”ですが、それを媒介として接触してもらえれば、広告としては万々歳です。
それではここで、そういった「“機能”をもたせる」と考え方で過去に僕が企画したお仕事の一例をご紹介したいと思います。それは、福岡・天神にあるファッションビル“レソラ天神”さんのWebサイトリニューアルのお仕事でした。
クライアントさんよりサイトリニューアルをしたいというお話がきて、そこで求められたお題は、「アクセス数をアップ」するということでした。
元々テナント数も少なく発信する情報も少ない商業施設のWebサイトには、何か目的がないとアクセスしてくれません。更新頻度の少ない情報ですが、なるべく多くの人に接触してもらいたいということもあり、何か他にサイトにアクセスする目的をつくれないかと思っていました。
最初はアクセス数を稼ぐために、サイト限定のキャンペーンやSNSなどを利用した企画も考えたのですが、それだと一過性の盛り上がりだけで終わってしまう。
そこで、何か継続してアクセスしてもらえる仕掛けができないのかを考えました(しかも、なるべくお金をかけずに)。
そこで企画したのが、このWEATHER SOUND MAKERです。

これは“その日の天気を音楽に変換する”コンテンツです。
そもそも、レソラという名前のネーミングコンセプトにある「天気」と「音階(音楽)」を使って何か表現できないかということと、継続してアクセスしてもらえるような“機能”をつけられないかと思ったところからの発想でした。


仕組み的には、アクセスする度に、レソラ天神が位置する福岡・天神のリアルタイムな気象データをAPIから取得し、そこから24時間の天気の移り変わりや気温の上昇、風速や風向きをサウンドとモーションに変換しトップページで表現するというもの。
ユーザーはアクセスすることで、「天気予報」が分かり、「毎日違う音楽」が楽しめるのです。
実際、リニューアル後のアクセス数は大幅に伸び、継続的にアクセスのとれるサイトになりました。
こういった“機能”をサイトに持たせることで、天神に買い物に行く時に天気予報がてらちょっとアクセスしてもらったり、「今日はどんな音楽なんだろう?」と気になってアクセスしてもらったりと、その機能によって、ただ単に“情報を取りにアクセスする”とは違った別の“目的”をつくることができます。
