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キーワードはエクスペリエンス向上、Adobe Marketing Cloudが目指すアプローチ方法


一見小さな顧客体験が競争力を左右する

編集部:エクスペリエンスを良くする、という言葉は良く耳にします。具体的にどのようなものが挙げられますか?

ハモンド氏:例えば、モバイル・Web・PCでコンテンツに接触した時に、同一の感覚で使用できることが挙げられます。ホテルグループのHyatt Hotels and Resortsが良い例です。ホテルの予約にトラベルサイトの予約サービスを利用する人は多いでしょう。すると、ホテル側は1回の予約につき10ドル強の手数料が発生します。このコストは馬鹿にできません。そこで、ハイアットは自社サイトを充実させて、そこで旅行の計画を立てたり宿泊予約を入れられることを目指しました。

 しかし充実したトラベルサイトはたくさんある。だから、対抗するためにより速く、柔軟性のあるサイトを作る必要があります。そこで最も重要視したことは、すべてのコンテンツを共通化することです。もちろん、利用者のデータも一元管理します。すると、とてもいい連続性が生まれる。Webで情報を見てからモバイルアプリに移動すると、すぐに同じデータが表示される。逆も同様です。

 利用者はすぐに「これはすごい」とは思わないかもしれません。でも、その後で対策をしていない他社のサイトを使ったときに「何であそこと同じことができないんだ」というフラストレーションにつながる。そうなれば我々の勝ちです。こういった体験を提供をできているかどうかが、企業の競争力にも影響してくるでしょう。

確実なテストを効率的に続けることが重要

編集部:競争力にも影響するとのことですが、パーソナライズの面でも企業が意識して取り組むべき点はありますか?

ハモンド氏:その点に関しては、証券会社のScottrade社が良い例でしょう。同社はユーザーが最も関心を寄せている情報の提供を目指しています。しかし、すべてのビジネスで共通する課題かと思いますが、Webサイトで何を出すべきか、すぐに判断するのは難しい。だからパーソナライゼーションが非常に重要になってきます。

 そこで、先ほど述べたように顧客のプロファイルを管理して分析することで、適切な情報の提供が可能になっています。もちろん、最も良い結果を得られる“ウィナーコンテンツ”を見つけるためには、テストを続けることが重要です。しかし、きちんと情報を掴んだうえで「こっちの方がもっと適切だろう」とテストをするのと、何もない状態で「これはどうだろうか」と試すのでは意味が変わってきます。

 そして、ある程度の知見が集まれば、システム側で自動的にテストができるようになります。最適化をスピーディーに行うことで効率化を図ることもできます。多くのテストに挑めることも、企業の力になるでしょう。

マーケターの作業はシンプルに

編集部:今後、アドビはデジタルマーケティングに対して、どのようなアプローチをとるのでしょうか?

ハモンド氏:具体的な方針は3つあります。ひとつは、モバイルのマーケティング作業をより簡単なものにしていくこと。以前からモバイルへの取り組みもしていますが、さらに力を入れていきます。

 次に、顧客について会社全体でより理解していくこと。現在のマーケティングは、Webベースの顧客行動履歴の分析が中心的です。POSやコールセンター、それ以外の社内に存在する様々なデータをすべて有効活用することで、お客様の全体像をより明確にしていく。そしてより良い経験を提供して、コンバージョンや売上の向上につなげられるようにします。

 そして最後に、マーケティングの業務をシンプルにしていくこと。企業はマーケティング活動や顧客に焦点を当てたいのであって、技術に力を入れるという状況は避けたいはずです。作業をシンプルにさせることで、マーケティング活動の効果やビジネス全体の効果を引き上げる。このアプローチを行っていく予定です。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/18 16:05 https://markezine.jp/article/detail/21088

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