キーワードは中長期/エンゲージメント

図1を見てください。この図は、デジタルマーケティングの全体像です。縦軸が目的軸で、横軸が時間軸です。この2軸でデジタルマーケティングの施策を配置してみると、大きく2つに分かれます。
1つは、製品やサービスの需要作りです。例えば、製品ロンチキャンペーンやセールスプロモーション施策が当てはまります。もう1つは、右側にある、プラットフォーム構築と運用による関係づくりです。コンテンツマーケティングは、この右側の箱に収まります。したがって、その特徴は2つになります。
- エンゲージメントを目的とした施策であること
- 中長期的な取り組みであること
基本的には、コンテンツマーケティングといっても、マーケティング施策ですから、製品やサービスのセールスに貢献することが必要です。ですから、コンテンツを活用して、中長期的な観点でエンゲージメントを作ること(=カスタマーとの関係づくりをすること)。それによって、ブランドのファンやフォロワーやリピーターを作り、製品やサービスのセールスに貢献すること。これがコンテンツマーケティングの目的になるでしょう。
コンテンツマーケティングでは、製品やサービスへのセールス貢献には言及しないことが多いようですが、マーケティングといった時点で見ると、直接的なものでないにせよ、結局は製品やサービスへのセールス貢献に行きつきます。逆に言えば、そこを意識しないコンテンツマーケティングは、無意味といえます。
カスタマーとブランドのコネクションを作ること
もう1つ別の見方でコンテンツマーケティングを説明しましょう。

図2を見てください。2つの箱がおいてあります。左がカスタマー、右側がブランドです。ここで指すブランドとは、製品やサービス、企業そのもののことを指しています。
デジタルマーケティングの目的は、カスタマーとブランドのコネクションを作ることです。その結果として製品やサービスを買ったり使ったりしてもらう。そのコネクションを作る手段として、コンテンツマーケティングの場合には、コンテンツを使うということです。
絵としては、カスタマーとブランドの箱の間にコンテンツという箱を置きます。逆に言えば、コンテンツマーケティングは、コンテンツによってカスタマーとブランドをつなげることが、その使命になります。

さきほど説明したように、ソニーのFIFA活動においての目的は、「サッカーファンをソニーファンに変える」というのが標語的に使われていたのですが、その場合は、ソニー全体でみると、右側のブランドがソニーという企業や、各プロダクトです。
そして、コンテンツはサッカーやワールドカップに関連するコンテンツ、左のカスタマーがサッカーファンやワールドカップファンになります。いかに、サッカーファンやワールドカップファンにとって有益なコンテンツを提供することによって、ソニーファンになってもらうか(ソニーというブランドとのコネクションを強めてもらうか)がテーマだったということになります。
読者の企業やクライアントにとってのカスタマーの箱とブランドの箱、そして、その間に置かれるコンテンツの箱には何が入るでしょうか? 具体的に、そうしたことが考えられるように、次回から実際にFIFA活動において、どんなコンテンツを提供したのかを説明し、コンテンツの発想の仕方や作り方のヒントを探っていきたいと思います。