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【短期集中連載】マーケティングメトリックス研究所所長・豊澤栄治の「アイドルとデータ分析」

データ分析における仮説と妄想、アイドル大杉な紅白とAKB・ハロプロのCD売上の因果関係を分析してみた


紅白初出場までの道のり

 女性アイドルが紅白に出場するまでに費やした汗と涙の日々は、ドキュメンタリーものの鉄板トピック。Perfumeが「ポリリズム」でブレイクするまでの軌跡を追った某ドキュメンタリー番組は本当に感動モノでした。

 ここで、1998年以降の主なアイドルの軌跡をまとめてみました。デビュー年月日の定義はなかなか難しいものがありますが、以下の表は、筆者の独断と偏見によりWikipediaなどを参考に作成しました。

 特筆すべき点としては、ハロプログループは紅白出場まで平均1.6年しかかかっていないのに対して、AKBグループは3.2年とおよそ倍の期間を要しています。1998年からの数年間、ハロプログループの勢いが止まらなかったことを示唆していますね。全体平均は2.6年となっていて、新顔のE-girlsは2.0年とやや早めの出場を勝ち得ています。一方、Perfumeは……インディーズ含めると本当に出場まで長かった。まさに感動の軌跡です。

紅白出場の選考基準

 ここであらためて、紅白出場の選考基準について確認してみましょう。

 選考基準は「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3点を中心に、「7歳以上の全国5000人を対象にNHKが行った『ランダムデジットダイヤリング』方式による調査の結果」、「『NHKのど自慢』の予選出場者の曲目」、「CD・カセット・DVDの売り上げ」、「有線・カラオケのリクエスト等についての調査」、「インターネットや携帯電話によるダウンロード等についての調査」の5つのデータを参考資料とし、出場歌手を決定。
(出典:リアルライブ

 「カセット!?」というツッコミはとりあえず置いておいて、紅白の選考基準はなかなか興味深いものがあります。

①5000人の調査結果
②『NHKのど自慢』の曲目
③CD等の売上枚数
④有線・カラオケのリクエスト
⑤ダウンロード販売

 これらはすべて数値データとして取得可能です。いわゆる、定量判断ですね。恐らく、それぞれの項目を統計処理(※)した上で20%など重み付けし合計得点を算出しているのではなかろうかと推測されます(個人的見解)。この合計得点の大きな楽曲から順に並べた後で、「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の観点から定性判断を行っていると筆者は考えます。

※ 具体的には基準化/標準化済みと考えます。基準化/標準化についてはこちらの記事を参照してください。最終回/ダミー変数を使って上手にデータをまとめ、グループごとの特徴を把握しよう【R入門講座】

 次に1998~2014年の過去17年間における、主なアイドルの出場回数を確認してみましょう。

 モーニング娘。の10回を筆頭に、AKB48とPerfumeが7回で追っています。道重さんの卒業年の今年、モーニング娘。紅白出させてあげたかった(繰り返し)。

売上枚数20万枚がひとつの紅白出場目安?

 さて、定量判断材料の一要素である「CD等の売上枚数」について深堀していきましょう。女性アイドルのシングルCDの売上枚数を合計し、ヒストグラムを作成しました。紅白出場歌手の発表は11月後半に行われることから売上枚数は1月~10月までに発売されたものに限定しています。

女性アイドルのシングルCDの売上枚数(「you大樹」「年代流行」をもとに筆者が作成)と
紅白に出場した女性アイドル ※グラフをクリックすると拡大します

 このヒストグラムは、売上枚数の範囲別に出場したアイドルを表しています。色の違う四角はそれぞれ女性アイドルを表しています。左端のグラフから詳しく見ていきましょう。

1番左の棒:  0万枚 =< 売上枚数 < 20万枚 ⇒9組

 年間のシングルCD売上枚数が20万枚未満でPerfumeは3回出場。モーニング娘。は2回、松浦さん、ももクロ、鈴木さん、AKB48は1回ずつ出場しています。つまりこの売上規模で出場したアイドルは9組いるということになります。

2番目の棒: 20万枚 =< 売上枚数 < 40万枚 ⇒15組
3番目の棒: 40万枚 =< 売上枚数 < 60万枚 ⇒ 3組

 過去17年の傾向から、20万枚以上40万枚未満で選出されているアイドルが最多の15組(全体の約30%)となっています。20万枚未満でも9組選出されていますが、近年連続出場している「E-girls」が20万枚前後であることから、ひとつの目安として念頭に入れておくといいでしょう。今年選出された「Perfume」や「ももクロ」は20万枚未満となっており、来年の活躍如何では出場が懸念されるところです。心配。

 このヒストグラムを見ると、圧倒的な売上枚数を誇っているグループがありますね。そうです、握手券商法でも名高い我らがAKB48です。初出場の時こそ11万枚程度でしたが、2009年以降、破竹の快進撃を続けており、その枚数はまるで巨人のようです。進撃ですね、わかります。一部の熱狂的ファンが……とは言え、ここまで売れてしまうとNHK的にも無視することは難しい状況なのではと推察されます。

次のページ
グループ総売上枚数とグループ総出場枠との因果関係は?

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豊澤 栄治(トヨサワ エイジ)

株式会社ファンコミュニケーションズ サービス開発部 情報科学技術研究所 所長

横浜国立大学経営学部、一橋大学大学院国際企業戦略研究科卒

SPSS Japan、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー(株)、外資系運用会社(Amundi Japan)での経験を活かし、金融の分析ノウハウをマーケティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/12/11 14:23 https://markezine.jp/article/detail/21530

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