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オウンドメディア最前線

キラーコンテンツは「食」、メディアは「あらゆるもの」 タニタ流ビジネスモデル・イノベーション

コンテンツを切り替えたら、ビジネスモデルも変わった

 ── 新たなコンテンツを掘り起こし、あらゆるメディアで発信した、ということですね。

 はい、そうです。「食」を起点にすることで多くの生活者に弊社を知っていただくことができました。先ほども話したように、弊社では食事・運動・休養をバランスよく取ることが健康への第一歩であると提唱していますが、「食」のコンテンツが充実し守備範囲がこれを網羅できることになりました。

 現在、日本の高齢化は急速に進んでおり、これに並行して医療費の増加が止まりません。弊社としてこれにどう対応していくか、どう解決策を提案していくか、それを可能にする体制がほぼ整いました。ですから、これからの弊社のブランドイメージを「健康総合企業」というソリューションカンパニー的な企業として定着させていくことにしました。すでにプレスリリースを配信する際も、自社を「健康総合企業を標榜するタニタ」とし、のちに「健康総合企業のタニタ」に変えています。

 ── 現在、御社の「核となるコンテンツ」は何なのでしょう。

 「タニタ健康プログラム」という集団健康管理サービスです。これは弊社が持っているハード・ソフトのノウハウをパッケージ化したもので、通信機能を備えたさまざまなプロ仕様の機器を使ってからだの「見える化」を図り、そのデータをもとにセミナーや個別の健康相談などを提供するソリューションです。すでに自社で実践し、医療費削減効果も出ています。

 弊社のビジネスモデルは、これまで「B2C」が主体でしたが、市場の停滞や先ほどの競合社対策などを考えると、今後の急速な成長は難しいと考えています。このプログラムは自治体や企業などを対象としています。いわゆる「B2B2C」のモデルです。

 ── キラーコンテンツを変えたら、ビジネスモデルも変わるんですね。

 そうですね。現在、新潟県長岡市が推進する「多世代健康まちづくり」プロジェクトに参画し、そのフレームに「タニタ健康プログラム」を導入していただいています。長岡市との取り組みは、今後の高齢化社会に向けた健康寿命の延伸のための大きな社会実験だと位置づけています。ですから、単にからだの「見える化」だけでなく、新しい試みも取り入れています。そのひとつが新業態の「タニタカフェ」です。

 「タニタ食堂」が食事を楽しむ場であるのに対して、「タニタカフェ」は五感を刺激してくつろげる癒しの場としています。単なる計測スポットではモチベーションが上がらないという長岡市の要請もあり、健康を切り口にした新しいコミュニティーが創出できる場として具現化しました。

 また、街中を回遊させ中心市街地の活性化を狙いに、地元の飲食店と連携してタニタ食堂のメニューを提供する「まちなかまるごとタニタ食堂」という取り組みも始めています。

 ── 今後の事業展開を教えて下さい。

 まずは長岡市のプロジェクトを成功させること。これをモデルに地域や企業の特性に合わせた水平展開を図っていきたいと考えています。食堂事業についても、社長の方針として47道府県に最低1店舗という目標を掲げていますから、服部栄養専門学校と連携して実施している「タニタシェフ育成コース」の充実・強化していきます。

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/03/03 14:00 https://markezine.jp/article/detail/21818

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