ゾンビとの会話が大ヒット!
育成ゲーム「ゾンビ彼女」が生まれるまで
甲斐 アイモバイルのアドネットワークに登録している個人デベロッパーでも、Cocos2d-xの利用率は増えています。アイモバイルでは3つのデバイス「PC、スマートフォン、フィーチャーフォン」でアドネットワークを運営し、現在931億インプレッション、スマートフォンでは553億インプレッションを保持しています。このスマートフォンの553億のうち、約半分がアプリです。2013年と2014年で比較するとアプリのインプレッションは1.6倍に伸びています。
私たちは常にアプリのトレンドに注目していますが、今回は数あるアプリの中でも『ゾンビ彼女』という、Cocos2d-xで開発された非常に収益性の高いアプリを世に送り出した、株式会社からぽんゲームズの中島さんにお話をおうかがいできればと思います。
中島 ゲームの開発環境としてUnityとCocos2d-xがあるわけですが、Cocos2d-xに関しては、マルチプラットフォーム対応で無料。フレームワークを直接書き替えられるというところがプログラマー的には非常に使いやすかったので、まずCocos2d-xを使ってひとつ作ってみようと。それで『ゾンビ彼女』を作り始めました。
大宅 「ゾンビ」と「彼女」という組み合わせはどこから来たのでしょう。
中島 最初は「なにかとコミュニケーションを取る」という“人工無能的なもの”を作ろうと考えていたんですが、そのころ育成ゲームが流行っていたので、それに会話パートを追加したのがゾンビ彼女です。見た目も「かわいい」をちょっと変えて「キモかわいい」ものにするというパターンが多かったので、じゃあもともと「キモいもの」をかわいくしようと(笑)。
なおかつ、知能がないものが知性を取り戻していくとうストーリーになると、ゾンビが一番いい。「ゾンビ」で検索すると大体グロいのがダーッと並ぶので、そこにかわいいのがあると逆にインパクトがある。実は「ゾンビ」と「女の子」というのは割と鉄板の組み合わせなんです。
大宅 すごい組み合わせですが、結果的にはばっちりでしたね。
大ヒットアプリも最初はDLされなかった!?
中島 今は順調な『ゾンビ彼女』ですが、実はリリース当初なかなか数字が伸びなかったんです。最初はiOSだけを出していたんですが、Androidを出したときに一気に跳ね上がって順調に伸びていきました。それを機に「ゾンビシリーズ」第二弾ということで女の子向けに『ゾンビ彼氏』を作り、現在では累計100万ダウンロードを超えています。
女性ユーザーの興味を引くゲームタイトルを作るのはなかなか難しいのですが、ゾンビ彼氏は目論見通り、大半が女性ユーザーという結果になりました。また先日、シリーズの新作『ゾンビ姉妹』をリリースしました。
甲斐 最初にAndroidが伸びたというお話でしたが、それは何が要因なのでしょうか。
中島 わからないですね。通常はiOSのほうが多くてAndroidが低いというのが多いのですが、『ゾンビ彼女』は今でもAndroidのほうが多く遊ばれてます。
甲斐 海外ユーザーが影響しているのでしょうか。
中島 いえ、日本のユーザーだけです。ただ、その中でクチコミが非常に多かったのは特徴的でした。Twitterでは中学生・高校生が学校で友達とやってるというのが多かったですね。
甲斐 ほかのアプリでも中高生に火がついて、一気にダウンロード数が伸びたというケースがありますが、その場合キーになったのは「海外」。Androidが普及してる海外でヒットして、逆輸入で日本でもダウンロード数が伸びたというパターンです。
中島 ちょうど海外展開も近々開始する予定で、中国語と韓国語と英語に対応します。台湾と韓国のユーザーがダウンロードしているのでその地域に向けて出していきます。台湾のユーザーは日本のブランドに関して非常に好意的で積極的にプレイしてくれる。中国語でゲームのタイトルをつけるより日本語のままのほうがいいくらいです。