DRMにおけるCVR向上原則
この連載ではDRMにおける消費者誘導のテクニックをずっと語ってきた(つもりな)のですが、その最たるものがこの「CVR」です。CVRについて、例えばDRMのひとつの施策であるDRA(Direct Response Ad)などとWebで共通していることは、例のAISASの「Attention→Interest→Search→Action」までの流れを、ひとつの閉ざされた世界の中で完結させなければいけない、ということです(厳密にはSearchはないですが)。
考えてもみてください。たった1冊のカタログで、あるいは新聞の5段広告で、見る人の注意を引き、商品を説明し、納得させ、購入(申し込み)行動を起こさせるというのは大変な作業です。Webサイトならば、リンクする他のページを同時に参照したり、クチコミを参考にしたりすることで判断材料もあるのですが、DRAの世界ではそれすらも難しい…つまり、そこで使えるテクニックならば、Webではなおさら有効だと思うのです。
この点について、もう少し詳しく述べてみましょう。このCVRの話は、潜在顧客が少なくとも企業側の情報に「触れている」ということが前提条件になります。つまり、DRAである新聞広告を見ている、またはDMを開封している、Webならば少なくともトップページには到達しているという状態です。ところが、DMならば送付リストがあるものの、新聞広告などでは誰がそれを見ているのかまではわかりません。ですから、不特定多数の人間すべてに受け入れられる要素を持っていなければなりません。
Webサイトはどうでしょうか? 流入経路としては、以下のようなものがあります。
- 紙やTVなどの媒体から掲載URLをたどって訪れる
- デジタル媒体やバナーからのダイレクトリンク
- <検索エンジンの検索結果からのリンク(リスティング広告含む)
いずれの場合にも、潜在顧客の何らかの「意志」はあるはずです。つまり、AISASのAIまでは、すでにある程度充足されていることになります。一方、DRMの施策…例えばDRAの方が、ハードルがずっと高い(多い)ことになります。Webの場合、すでに「芽」はあるのですから、いかに短時間でこれを育て、刈り取るかの勝負になるのです。