マーケティングもコラボレーションの時代に
さらに須藤氏はグロースハックの必要条件に次の3つを挙げる。
- ツールを使いこなすための十分なリソースがある
- 機能の多さを比較するのではなく、目的に応じた適切なツールを選んでいる
- ツールを活用するための効率的なワークフローがある
そして須藤氏は、不都合な真実の4つ目として、マーケティングツールがマーケティングにおける課題をなんでも解決してくれる魔法の杖ではないことを挙げる。
「マーケティングツールは、マーケティングの本質的な問題を解決してくれはしません。解決してくれるのは、限定された一部だけ。魔法ではないので、使う側の資質が問われることを理解していただいた上で、どんな体制を組んで、どんなPDCAのサイクルを作っていくのか、入念な打ち合わせをさせてもらいます」と語った上で、「当たり前のように聞こえると思うが、これらがきちんとできている企業は、感覚値で3割ほどしかいない」
グロースハックの成果は、CVの数値という目に見える結果として表れるが、これはあくまでも氷山の一角であり、実際には見えないところにある「組織(文化・風土)」「意識・メンタリティ」「行動」といったものが、重要な下支えとなっていることを、忘れてはならない。
スピード感のあるアクションが鍵となるグロースハックでは、現場に裁量権がなく施策の意思決定に時間がかかる組織は足かせとなる。また、数々のトライ&エラーを繰り返しながら改善していくため、新しいチャレンジを容認してくれる風土も必要だ。加えて、トップダウンで政治色が強い組織では、数字に基づいた検証に支障をきたしてしまう。
「継続的な改善のキモは、“何が問題で、何を変えなければいけないのか”ということをきちんと伝えながら、現場をエンパワーし続けることです。マーケターがひとりで奮闘する時代は終わった。グロースハックが成功する企業では、マーケターだけでなく各部門の人たちが、良いUXを提供することを優先させている。こんな組織に変えることが、マーケティングの不都合な真実を覆すための、唯一の方法だと信じています」と語り、外部もうまく活用しながらチームでグロースハックを進める重要性を説き、講演を締めくくった。