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リクルートの最新アドテクノロジーを支えるエンジニアたち/飽くなき技術研鑽を支えるRCOの企業文化

 リクルートグループのマーケティングコミュニケーションを担う、リクルートコミュニケーションズ。現在、各種ネットメディアへの広告配信最適化を実現するシステムを自社内で開発、運用すべく、新たな「プライベートDSP」の開発にも着手しているという。バックグラウンドも個性もばらばらなメンバーが集い、「やりたいこと」「やりたい人」が優先される企業文化のもと技術研鑽に挑む同社のエンジニアたちに迫った。

アドテクノロジーの進化を牽引するエンジニアたち

 インターネット上でのオンライン広告配信にまつわる一連のシステムを実現する「アドテクノロジー」は、先端のIT技術に関心を持つエンジニアにとって刺激の多い世界だ。広告を掲載するメディア側が在庫を管理し、販売機会と収益の最大化を図るための「SSP(Supply Side Platform)」。広告主や広告会社が在庫の買付や配信先のターゲティングなどを管理し、広告効果を最大化するための「DSP(Demand Side Platform)」。配信先と広告出稿元を「競売」形式でリアルタイムにマッチングする「RTB(Real Time Bidding)」。オーディエンスに関する大量の情報を蓄積、分析することでDSPなどを使った広告配信の効果を高める「DMP(Data Management Platform)」など、アドテクノロジーの構成要素は多岐にわたる。

DSP、DMP、RTB、SSPの相関図

 また、構成要素のそれぞれに求められる技術的な要請も高い。ノンストップで発生し続けるリクエストを高速、かつ確実に処理できる、システム全体のリアルタイム性と堅牢性。広告取引によって生まれる大量のトランザクションデータを効率的に分析処理するための仕組み。高確率でコンバージョンへとつながる属性を持ったユーザーに対して、効果的に広告を配信するためのロジック。これらに対する要請は日々強まっている。アドテクノロジーに関わるエンジニアは、次々と登場する最新の技術と、自らのアイデアを駆使しながら、より高速で精度の高いシステムを作り上げることに挑んでいる。

 リクルートグループのマーケティングコミュニケーションを担う「リクルートコミュニケーションズ(RCO)」は、現在、各種ネットメディアへの広告配信最適化を実現するシステムを自社内で開発、運用すべく、新たな「プライベートDSP」の開発に着手している。DSPの開発や運用を自ら手がけることで、より精度の高い広告配信プラットフォームを実現し、今後さらにビジネス機会が拡大すると予想されるRTBによるディスプレイ広告分野で地歩を築くことを目指している。

 今回、RCOでプライベートDSPのインフラ構築、開発、運用に携わる5人のエンジニアに話を聞くことができた。彼らは、どのような環境で、またどのような技術的な関心を持ってアドテクノロジーに携わっているのだろうか。

【出席者一覧】
リクルートコミュニケーションズ ICTソリューション局 アドテクノロジーサービス開発部 所属。
コアテクノロジー開発グループ、中村敏和氏
テクノロジーサービス開発グループ データサイエンティスト、丸山哲太郎氏
コアテクノロジー開発グループ ソフトウェアアーキテクト、上田和孝氏
コアテクノロジー開発グループ、小林智則氏
コアテクノロジー開発グループ テクニカルリード、阿部直之氏

多様なバックグラウンドと得意分野を持つアドテクチーム

――まず、みなさんがそれぞれにRCOの中でどのような業務に携わっていらっしゃるのかについてお話しいただけますでしょうか。

中村:中村です。現在は主に、広告バナーのユーザーターゲティングに関わっています。ユーザートラフィックから、特徴量を作り、それをもとに機械学習などを使ってターゲティングを行うといった内容です。最近では、ドキュメントの解析技術を使って、ニッチなターゲティングもできるようにしたいと取り組んでいます。エンジニア兼データサイエンティストという立場で、さまざまな案件に関わっています。

コアテクノロジー開発グループ、中村敏和氏

丸山:丸山と申します。私も、中村と同じくデータサイエンティストグループにいますが、どちらかというと、よりインフラエンジニア寄りの仕事をしています。広告配信の最適化を行うもとになるデータとして、Webのアクセスログがあるのですが、RCOでは、その生データをインフラチームがAmazon S3に保存してくれています。私は、それをさらに人間が加工しやすいよう、あるいは分析アプリケーションで扱いやすいような形にして、同じくAWSのデータウェアハウスサービスである「Redshift」に移すということをやっています。データマイニングにおけるETL(Extract/Transform/Load)の「T」と「L」の部分を担当している形になります。加えて、データサイエンティストとしての立場で、機械学習に基づいた、広告バナーの個人ごとの出し分けの最適化にも取り組んでいます。以前は企業の研究所でストレージシステムの研究を行っていましたが、1年ほど前にRCOに転職してきました。

テクノロジーサービス開発グループデータサイエンティスト、丸山哲太郎氏

上田:上田です。私は1999年の入社で、それ以来ずっと開発に関わっています。2013年までは主にWebアプリの開発をやっており、その後アドテクノロジーに関わるようになりました。

 DSPというのは、非常に高いトランザクションが発生するシステムで、最大で5万クエリ/秒を処理するといったケースも出てきます。その矢面に立つシステムの正常な動作を確保したり、溜まりすぎて分析しきれなくなったログから、いかに意味のある部分だけを抽出して、分析を行う人たちに渡したりといったことをやっています。

 実装面では、Javaでガベージコレクションが発生しないよう、既存のライブラリを使わずに最高のパフォーマンスをたたき出すようなプログラムを書いたり、さまざまなサイトからAPIを通じて入ってくるユーザー情報をうまくさばいたりという感じのこともやっています。

コアテクノロジー開発グループ ソフトウェアアーキテクト、上田和孝氏

小林:小林と申します。私はインフラエンジニアの立場で、プライベートDSPの全体的な基盤部分のAWSによる構築や運用を担当しています。Redshiftについては、全体的な設計、導入、運用までを手がけています。以前は企業の情報システム部門にいたのですが、3年ほど前にRCOに転職しました。

コアテクノロジー開発グループ、小林智則氏

阿部:阿部と言います。アドテクノロジー関連では、DSPのコアシステムの設定などを行うようなWebアプリの開発を担当しています。Webアプリエンジニアとして動きながら、最近ではRCOで働いているエンジニアの開発環境の改善というテーマにも業務として関わり、CIのツールを入れたり、そのフローを整えたりといったこともやっています。また、エンジニア全体の育成や採用といった部分にも仕事が広がっています。社歴は3年ほどです。以前は地方のSIerでフルスタックエンジニアとして動いていました。

コアテクノロジー開発グループテクニカルリード、阿部直之氏

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DSP構築のウラ側と課題/エンジニアの挑戦

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この記事の著者

高橋 美津(タカバシ ミツ)

PCやネットといったIT分野を中心に、ビジネスやゲーム分野でも執筆を行うフリーランスライター。Windowsユーザー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/04/06 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22268

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