超人気大会で行なわれる、もう一つの「マラソン」
東京マラソンといえば、世界の主要なマラソン大会の一つであり、当選倍率約10倍の超人気イベントです。同大会にオフィシャルパートナーとして参加しているコニカミノルタは、2014年の第8回大会から、ソーシャルメディアと連動した「ソーシャルマラソン」というキャンペーンを行っています。
ソーシャルマラソンはその名の通り、マラソン参加者の計測タイムが自身のSNSページに投稿されるものです。そしてゴール後、ランナーには「FINISHER'S_REPORT」が無償で提供されます。これは、走行タイムと、Facebookの投稿に寄せられた友だちからの応援コメント等の情報がまとめられたもの。この取り組みはソーシャルメディアとリアルイベントを活かしたサービスとして、注目を集めています。
今回、ソーシャルマラソンの仕掛け人であるコニカミノルタの浜田圭佐氏に取り組みの背景と、2年間の創意工夫を聞きました。
目的は認知拡大とサービスの疑似体験
――ソーシャルマラソンを始めた背景は何でしょうか?
浜田:2つの背景があります。一つは、これまでも市民ランナー応援プロジェクトをしてきたということ。二つ目に、私たちが提供するサービスを疑似的に体験していただき、認知拡大をしたいということです。
市民ランナーの方々を応援する取り組みは、コニカミノルタ ランニングプロジェクトと銘打って、2006年から始めていました。というのも、当社にはニューイヤー駅伝などに参加する陸上競技部が存在します。「社会に必要とされる会社」であるために、陸上競技部が培ってきたノウハウをご提供してきました。
この文脈で、日本最大のマラソン大会である東京マラソンでもランナーの皆さんを応援したいと考えました。そこで、当社の複合機を大会事務局に提供するというスポンサードを開始しました。ですが、これだけだと大会の支援やロゴの露出で止まってしまいます。それに、当社のサービスを使って、ランナーに喜んでもらえる直接的な体験を提供できるかというと、難しい。そこで、他に何かできることはないか考えました。
もう一つの軸が、サービスの認知拡大です。私たちの事業のひとつとして、複合機を使った出力サービスの提供があります。出力サービスというと、コピー等シンプルなものをイメージされるかと思います。ですが、実際はそれだけに留まりません。クラウド上に社内からスキャンデータをあげて、それを出先にいる別の人がモバイルで閲覧したり、リモートでの出力指示をするなど、ソフトとハードを組み合わせることで、様々な価値を提供することが可能です。当社のサービスを疑似的に体験して、価値を知ってもらうことはできないかを考えました。
両軸が重なって出てきたものが、ソーシャルマラソンです。ランナーの走行記録は通過タイムごとにクラウド上で保管されます。そのタイムとソーシャルメディアに寄せられた応援コメントを出力して、参加者の思い出として提供する。これならば、ソフトとハードのハイブリッド体験を提供することが可能です。
あわせて、当社グループには名刺やポスターなどを印刷して受取ができる、キンコーズがあります。キンコーズへ疑似的に送客を行い、サービスを体験していただく仕組みも整えました。マラソン当日にも「FINISHER’S REPORT」を手に入れることができるのですが、キンコーズの店舗でゼッケンナンバーを申告して頂ければ、無償でゼッケンとレポートがラミネートされた「FINISHER’S REPORT保存版」を手に入れられるようにしたのです。こうすることで、単純な認知ではなく実際にオーダーをして、店舗に足を運び、商品を受け取るという体験の提供を狙いました。