顧客ライフサイクルを円滑に回すための技術活用
顧客ライフサイクルとは、顧客が商品やサービスに関心を持ち、調査をして購入候補を絞り込み、購入して使用を始めてから継続利用をして、他の顧客に勧めるという一連の流れを指す。企業はこのサイクルを上手に回し、既存顧客のロイヤリティを高めながら、新規顧客を取り込む必要がある。
同社は顧客ライフサイクルが円滑に循環するために、顧客一人ひとりがライフサイクルのどの段階にいるかを把握し、正しいメッセージを送るための工夫をした。そして、そのために様々なテクノロジーを利用している。例えば、日本でも新機能として発表された「Rapid Retargeter」の活用だ。同機能を利用することで、Web上の顧客行動を素早く捉え、各行動に対して、最適なメッセージを発信することができているという。

リアルタイムに顧客に向けて最適なマーケティング施策を取るれる
また、メッセージの送信時間を最適化する「Send-Time Optimization Solution」を利用し、開封率の上がる時間帯を分析。夕方の方が開封率は高いといった判断や、夜間の購買率が高いユーザーへは昼間に配信しない、といった判断を自動的に行っている。
テストを続け、常に最適化することが重要
最後にスコキング氏は、テストの重要性を語った。顧客の行動は常に変化する。常に顧客に寄り添うためには、変化に合わせたシステムの改善が必要となる。JCPennyでは最適化のために次の6項目を定め、テストを行っている。

前もってテストのプランや方法を考える(1)。そして、実際にテスト計画を実行する(2)。テストは最初はシンプルに、徐々に複雑なものにする(3)。そして、テストは大きなものも小さなものも全て行う(4)。例えば、コンテンツ全体のセールスメッセージが最適なものかのテストも必要だし、コンテンツ一つひとつが良いものであるかもテストする必要がある。あらゆるものについてテストを行う必要があるわけだ。
そして、テストを行ったら結果を文書化し(5)、組織全体で共有する(6)。こうすることで、担当者が変わった際にも情報を共有でき、属人化を防止できる。また、テストのやり直しを最小限にとどめることも可能だ。
さらに同社では、すぐに使用しないプログラムにもテスト機能を構築している。なぜなら、簡単なテストができる状態にしておけば、テストをして進むべき方針を決めることができるからだ。そして段階的に高度な戦略に移行し、結果を見ながら調整をしてゆくことで大きな結果を牽引することができる。今回の収益とCVRの向上も、テストを続けた結果もたらされたとスコキング氏は語る。
鍵は「できることから迅速に」
今回の取り組みから得た気付きとして、スコキング氏は3つの事柄をあげた。ひとつは、属性情報から行動情報まで可能な限り多くのデータを収集し、顧客を知る。そしてカスタマージャーニーでのコンタクトポイントを創出することで、顧客と最適なコミュニケーションを取ることができること。
2つ目がテクノロジーとデータが、カスタマージャーニー作りに役立つということ。そして3つ目が賢くテストを行うことでキャンペーンの最適化は実現し、良い結果を得られるということだ。そして、最後のアドバイスとして、スコキング氏は次の言葉をマーケターに投げかけた。
「完璧な仕組みを作ってからマーケティングの改善に取り組むことは難しいです。自分たちができることを迅速に行う。自分ができると思うことからすぐに始めることが重要です」