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ネット業界の枠を越え、アドテク活用は今や一般化した【ad:tech SF 2015レポート】

「ちょっとした瞬間」の生活者の情報ニーズに対応できるか

 つぎに、「micro-moments」についてだが、これは「ちょっとした瞬間」という程度の意味だと思う。「Keynote Presentation: New Consumer Journeys>>New Product Roadmaps」において、Googleの広告とコマース部門のシニアバイスプレジデントであるSridhar Ramaswamy氏が「micro-moments are big opportunities for marketers」「mobile is a driver of this change」と話していた。つまり、スマホの出現でちょっとした瞬間の情報ニーズに対して対処できるようになったので、これがマーケターにとっても非常に大きなチャンスになっているということだ。

 この「micro-moments」を上手に捉えて「right message at right time」(ちょうどよい時にちょうどよいメッセージ)を発信することができるかどうかに、今後のマーケティングの成否がかかっているといっても過言ではないだろう。例えば、GoogleにはGoogle Nowというプロダクトがあって、この「micro-moments」の思想を反映している。Google Now紹介動画があるので、ぜひ参考に見て欲しい。

 Sridhar Ramaswamy氏は「intent behind micro-moments」(ちょっとした瞬間に潜む生活者の意図)をきちんと把握することが非常に大事だと強調していた。そして、つぎの3つの点を意識するように勧めた。

(1)identify the moments to win:勝てる瞬間を識別する、つまり、ビジネスにつながる瞬間を認識するということ
(2)deliver on the needs in the moments:その瞬間のニーズに沿ってメッセージを配信する
(3)measure the moments:そして、その瞬間の効果を測定する

 とくに3つ目の効果測定については、「mobile is connected with the experience of desktop」(デスクトップPC上での経験とスマホは連携している)として、クロスデバイスでの効果測定(クロスデバイス・アトリビューション)をおこなっていく必要があると話していた。

 特に私の印象に残った言葉は、「mobile makes life addressable」だ。スマホによって生活者の生活に合わせて情報を届ける(addressable)ことができるように変わった、という意味だと思う。この変化は、本当に大きいんだろうな、と感じたセッションだった。

 この「micro-moments」というテーマは、「WATCHES, BRACELETS AND BRAS: WHERE SMART WEARABLES ARE GOING」というウェアラブルに関するセッションでも扱われていた。ウェアラブルによって「the moments of needs will be addressed」(需要が生じる瞬間にあわせて情報を届けることができるようになる)として、Sridhar Ramaswamy氏の話と同様の「micro-moments」の重要性が語られていた。

 私は上記のセッションに登壇していたKiipのCEO、Brian Wong氏の話が気に入った。彼は「connected generation」という単語を使って、すべての人々がスマホやウェアラブルによって繋がった世界が訪れるとみていた。私の解釈では、「connected generation」の世界では、瞬間的な情報ニーズにきちんと対応することでブランドの価値が上がっていくし、生活者とのエンゲージメント(関係構築)もできる。逆にいえば、瞬間的な情報ニーズに対応することができず、生活者とのエンゲージメントを確立できないブランドは、その存在すら忘れ去られていく。なぜなら、生活の中に入り込んでこないからだ。自分の生活の中に入ってこないブランドはあってもなくても同じことになる訳だ。そう考えると、ちょっと怖い話だなぁと聞きながら感じた。

 最後に、「non-human traffic」についてだが、ちょうど今回一緒に参加した江端浩人氏が秀逸なコラム『スマホ、動画へシフトする、広告を巣食うNHT問題とは』を書いているので、ぜひ読んでいただきたい。

内向きの時代は終わった。積極的に海外の業界イベントに触れるべき

 さて、今回のad:tech SF 2015に参加して思ったのだが、日本からの参加者もいるのだけれども、若手が少ないということ、それから、大手企業の参加者が少ないことが気になった。

 20代から30代前半ぐらいまでに、このような大きな海外の業界イベントに触れることは非常に重要だ。広告業界は昔はDomestic(国内向き、内向きの)業界だったと思うが、いまはあきらかに海外の、特に、アメリカの技術的進化の影響を受けている。大手広告主企業も、大手広告代理店も、もっと積極的に若手を送り込んで、真摯な姿勢で学び続けていくべきだろう。井の中の蛙にならないためにも。

本記事は「Unyoo.JP」の記事「ad:tech San Francisco 2015レポート~トレンドは「attention span」「micro-moments」「non-human traffic」の3つだ」を要約・編集したものです。長編のオリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/22570

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