スマホ中心で、より複雑化するカスタマージャーニー
押久保:そのようにカスタマージャーニーを詳細に想定し始めると、次にマーケティング担当者には、ユーザーと接点を持てるタッチポイントごとに、きめ細やかな対応をすることが期待されてきますよね。
吉田:はい、そこまで踏み込めるマーケティング担当者も、増えてきていますね。ただ、そうした取り組みを続けることで成果はあがってくるものの、一方でそうした取り組みを続けるにつれて「多数のセグメントごとに細かくカスタマージャーニーを考え、訴求方法を用意する」ことを、どれくらい細部まで人手で対応できるかという問題が浮上してきます。
実は、そうした作業の大部分のところは、テクノロジーによって処理できるようになってきました。例えば当社が提供するDMP「Rocket Fuel Origin DMP」なら、さまざまなキャンペーンを通じて得られたデータを自動的に収集・分析することで、顧客の属性を数百に分け、さらに数百パターンにも及ぶ行動とも紐付けて、ユーザーをセグメント別に分類していきます。属性と行動との掛け合わせで数千単位のセグメントを作成していくことが可能で、それだけのセグメントに対して適切なアプローチをシステム側で個別に探ってくれるわけです。
カスタマージャーニーの陳腐化をテクノロジーで防ぐ
押久保:テクノロジーを利用する他の利点として、“リアルタイム性”が挙げられると思います。テクノロジーによって自動的に最新の消費者行動を把握できるようになれば、「せっかく数か月かけてカスタマージャーニーの精度を高めたのに時間が経ちすぎて陳腐化してしまった」といった本末転倒なことが起きる恐れはなくなるのでしょうか。
吉田:そのとおりだと思います。これからのマーケティングを考える上で、“リアルタイム性”は外せないポイントでしょう。ちなみに私は、“リアルタイム性”について考える場合、もう1つの側面も考慮に入れる必要があると思うのです。
それはユーザーをリアルタイムに理解するだけでなく、ユーザーの現在のシチュエーションに合わせたリアルタイムなアプローチも重要だということ。会社帰りの電車に乗っている18時台にスマホ広告で接触しておけば、「最寄駅から自宅までの帰り道、お店に寄って買ってみようか」と思ってもらえたかもしれないのに、19時を過ぎてから広告配信してもまったく心に響かないということも十分に考えられますよね。