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数千単位のセグメント、ユーザーの“今”に最適な施策――“スマホ中心”マーケティングの鍵は

 ここ数年、課題の1つとなってきたスマートフォンへの“対応”。しかし、一部で「スマホ依存」と言われる人が出るほどの浸透ぶりを考えると、もはや “対応”にとどまらず、スマホ“中心”のマーケティングにシフトすべきときかもしれない。スマホ“中心”のマーケティングに必要なものは何か。DSP/DMPの提供を通じて企業のマーケティング活動を支援する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)に話を聞いた。

マーケティングは“PC中心”から“スマホ中心”へ

押久保:2~3年ほど前から普及し始めたスマートフォンが、日常生活の中で欠かせないツールとして定着してきました。PCよりスマホを使ってネット利用するユーザーも増えてきたことで、消費者行動に変化が生じてきたとも言われています。DSP/DMPといったマーケティングプラットフォームの提供を通じて、KCCSさんにはさまざまな知見が集まっているかと思います。マーケティング担当者に押さえておいてもらいたい消費者行動の変化として、どんな点が挙げられますか?

株式会社翔泳社 MarkeZine編集部 編集長 押久保剛(写真左)京セラコミュニケーションシステム 参与 インターネットメディア事業本部長 吉田洋氏(写真右)
株式会社翔泳社 MarkeZine編集部 編集長 押久保剛(写真左)
京セラコミュニケーションシステム 参与
インターネットメディア事業本部長 吉田洋氏(写真右)

吉田:スマホの普及によってユーザー行動が変化していることは、間違いないでしょう。マーケティング担当者にとって見逃せない情報をまず1つご紹介しますと、当社の提供している広告配信サービス「KANADE DSP」の広告在庫量の推移を見ると、最近になってスマホがPCを上回るようになりました。

 KANADE DSPは国内の主要なアドエクスチェンジ/SSPのほとんどと接続していますから、ネット広告全体のトレンドとして捉えても大きな間違いはないと思います。ここまでスマホが浸透してくると、従来のPCメインの発想のままでは通用しなくなってきますから、スマホを軸に据えてマーケティング戦略を見直してみる必要があるでしょう。

 例えばPCを使うとき、ユーザーは基本的にブラウザ上ですべて行動を完結させていました。しかし、スマホでは目的に応じてアプリを使い分けます。ユーザーはアプリをインストールすると何度も利用する傾向がありますから、まずはアプリをインストールしてもらうことが重要になっています。

 また、PCの大画面ではなくスマホの小さな画面でコンテンツを閲覧されることが増えてきたことで、スマホに最適な広告表現も模索されるようになってきました。PCでは大きな方向性としてディスプレイ広告をよりリッチに見せようとする動きがありますが、スマホアプリではSNSやニュースアプリのコンテンツ間などに掲出されるインフィード広告が効果的だといわれ、利用が広まりつつあります。

数字から見えるスマホ中心の実態

押久保:そうしたスマホ中心のマーケティングへのシフトは、最新の数字として、どれくらい進んでいるのでしょうか?

吉田:当社の顧客企業の中でも、スマホへの意識は相当高まっていますが、本格化するのはこれからでしょう。ネット広告予算の30~40%はスマホにシフトしてきましたが、スマホが半分以上を占めている広告在庫量の伸びと比べると、まだ遅れ気味です。

 しかもスマホ中心のマーケティング活動を成功に導くには、広告予算をただスマホにシフトすればいいというわけではありません。

 気軽に何度も購入する日用品などは情報収集から購入までスマホですべて完結するかもしれませんが、高級消費財になるとスマホで情報を調べても最終的にはPCから購入する人が多いかもしれません。そのように、スマホの利用のされ方は商品ごとに違っているのです。

 従来はどの企業も「AIDMA」「AISAS」といった共通の枠組みで考えればよかったのかもしれません。それが現在では、ユーザーの属性・行動に基づいて分類したセグメントごとに「顧客がどのタッチポイントでどんな体験をしてコンバージョンに到達するのか」といったカスタマージャーニーを、細部まで想定することが求められるようになってきているわけです。

スマホ中心で、より複雑化するカスタマージャーニー

押久保:そのようにカスタマージャーニーを詳細に想定し始めると、次にマーケティング担当者には、ユーザーと接点を持てるタッチポイントごとに、きめ細やかな対応をすることが期待されてきますよね。

吉田:はい、そこまで踏み込めるマーケティング担当者も、増えてきていますね。ただ、そうした取り組みを続けることで成果はあがってくるものの、一方でそうした取り組みを続けるにつれて「多数のセグメントごとに細かくカスタマージャーニーを考え、訴求方法を用意する」ことを、どれくらい細部まで人手で対応できるかという問題が浮上してきます。

 実は、そうした作業の大部分のところは、テクノロジーによって処理できるようになってきました。例えば当社が提供するDMP「Rocket Fuel Origin DMP」なら、さまざまなキャンペーンを通じて得られたデータを自動的に収集・分析することで、顧客の属性を数百に分け、さらに数百パターンにも及ぶ行動とも紐付けて、ユーザーをセグメント別に分類していきます。属性と行動との掛け合わせで数千単位のセグメントを作成していくことが可能で、それだけのセグメントに対して適切なアプローチをシステム側で個別に探ってくれるわけです。

カスタマージャーニーの陳腐化をテクノロジーで防ぐ

押久保:テクノロジーを利用する他の利点として、“リアルタイム性”が挙げられると思います。テクノロジーによって自動的に最新の消費者行動を把握できるようになれば、「せっかく数か月かけてカスタマージャーニーの精度を高めたのに時間が経ちすぎて陳腐化してしまった」といった本末転倒なことが起きる恐れはなくなるのでしょうか。

吉田:そのとおりだと思います。これからのマーケティングを考える上で、“リアルタイム性”は外せないポイントでしょう。ちなみに私は、“リアルタイム性”について考える場合、もう1つの側面も考慮に入れる必要があると思うのです。

 それはユーザーをリアルタイムに理解するだけでなく、ユーザーの現在のシチュエーションに合わせたリアルタイムなアプローチも重要だということ。会社帰りの電車に乗っている18時台にスマホ広告で接触しておけば、「最寄駅から自宅までの帰り道、お店に寄って買ってみようか」と思ってもらえたかもしれないのに、19時を過ぎてから広告配信してもまったく心に響かないということも十分に考えられますよね。

“リアルタイム・マーケティング・ハブ”となり得る「KANADE」ソリューション

押久保:リアルタイムにユーザーを分析して、リアルタイムに最適なアプローチを採る。そんな理想を実現する上で、貴社が「KANADE」ブランドで提供しているソリューションの強みを教えてください。

吉田:広告配信を最適化するDSPとして「KANADE DSP」を、ユーザー情報の管理や属性・行動分析をセグメントするDMPとして「Rocket Fuel Origin DMP」を、両輪で提供していることでしょう。

 Rocket Fuel Origin DMPのベースになっているのは、DMP分野のForrester調査で7つのカテゴリでトップ評価を獲得した米X Plus One Solutions(現Rocket Fuel)のDMP。オープンな思想で開発されたシステムですから、数多くの外部サービスと連携して、企業のマーケティング活動を支援しています。他社製CRMなどとの連携も開発段階から想定されていて、非常にスムーズです。

 そんな特長のあるRocket Fuel Origin DMPでさまざまなところからデータを集めてきて、そのデータに基づいてユーザーを分析・管理し、KANADE DSPによって最適なタイミングで最適なチャネルを通じて最適なメッセージを発信する。その3つのプロセスを強力に支援する“リアルタイム・マーケティング・ハブ”となり得る機能を両輪で備えているところが大きな強みです。

 その他の特長としても、「レコメンドバナーやビデオバナーなど、多彩なクリエイティブを扱える」「自社開発した機械学習によってROIを最適化可能」「“顧客第一主義”を徹底する京セラグループならではのサポート力」「アドエクスチェンジ/SSP 15社と接続する国内トップクラス広告枠在庫」「商品マスタ・第3者配信・ワンタグ連携について、それぞれ豊富な連携先がある」といった優位性があります。

位置情報との連携も推進

押久保:直近の展開として、アイリッジ社と提携し、スマートフォン向け位置情報連動型マーケティングソリューションを提供していくことも発表されています(参考情報)。

吉田:アイリッジはスマホの位置情報を基に、パーソナライズしたメッセージをプッシュ通知できるO2Oソリューションを提供しています。当社のDSP/DMPと組み合わせることで、「このユーザーは、通勤途中で暇をつぶしているのか、ランチに行こうとしているのか、それとも自宅付近で気軽に買い物しているのか」といった状況を正確に把握し、より最適なメッセージを配信できるようになります。

 もっと言えば、「Webサイトには訪問してくれるがアプリをダウンロードしてくれない」といったユーザーにターゲットを絞って、アプリを薦める広告を送り、インストールしてくれたらリアルな位置情報に基づいて、クーポンをプレゼントするといった施策も可能になってきます。そんな施策は、「O2Oによって実現できる理想型の1つ」として言及されてきましたが、これまでは乗り越えなくてはならないさまざまな技術的な課題があり、実現に至っていませんでした。

 今後はO2Oに続いて、PCやスマホだけでなく店舗内のデジタルサイネージなども各企業がマーケティングチャネルとして活用しやすくなり、「IoTによって実現できる理想型」がまた登場してくるはずです。そうした理想型を実現する上で課題となる点をテクノロジーによって1つずつ解決し、マーケティング担当者を支援する。そんな目標を掲げて、今後も「KANADE」ブランドのソリューションを強化していきたいと考えています。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/21 16:13 https://markezine.jp/article/detail/22698