パーソナライズド動画を世界で展開するサンデースカイ
MZ:各種ツールの発展もあって、メールを中心にパーソナライズしたアプローチに着手する企業が増えています。一方で、理解促進などに効果が高いとされる動画については、その内容からカスタマイズが難しく、日本市場では完全にパーソナライズした動画の例を聞くことはほとんどありませんでした。今回は、すでに米国をはじめ世界各国でパーソナライズド動画を提供しているサンデースカイのCEO・ウェラーさんの来日に際して、パーソナライズド動画の仕組みや日本での事例などをうかがいます。まず、サンデースカイの事業について教えてもらえますか?
ウェラー:当社はイスラエルのベンチャー企業で、2007年に私と現CTOのヤニーヴ・アクセンの2人で創業しました。目的は、ブランドとお客様とのコミュニケーションをよりスムーズにすることです。私たちの技術によって、双方を結びつける新しいインフラをつくりたいと考えました。社員は現在約160人で、拠点はイスラエル、ニューヨーク、ロンドン、東京の4都市にあります。
MZ:元々、動画の事業に特化していたのでしょうか?
ウェラー:そうですね。というのは、ブランドが商品やメッセージを訴求するのに、動画は最も優れていると思うからです。感情に訴え、人の心に響くプロモーションができる、“best interactive solution”だと考えています。
たった一人に向けた動画を大量にリアルタイムで生成
MZ:ちなみにイスラエルは、テクノロジー系スタートアップが多い印象がありますが、起業が盛んなのでしょうか?
ウェラー:ええ、800万人の人口に対して5,000以上のスタートアップがあるので、非常に盛んだと思います。立ち上げ時には国からの支援も受けられますし、シリコンバレーのようにチャレンジを後押しする土壌がありますね。私も元々はエンジニアですが、会社を創業するのはこれで3回目なんです。
MZ:では、サンデースカイのパーソナライズド動画について教えてください。
ウェラー:当社で「スマートビデオ」と呼んでいるパーソナライズド動画は、完全にその人ひとりに向けた動画です。いわゆる、同じ映像の数カ所だけで名前を差し替えたりするテンプレート型ではなく、画像や音声、数値などの素材と情報を参照して、オーダーメードでリアルタイムに組み立てて配信します。なので、動画の長さ(秒数)もそれぞれ異なります。
MZ:例えばどのような業種で使われているのですか?
ウェラー:分かりやすいものだと、米でAT&Tなどのモバイルキャリアが請求書を動画で配信しています。「video bill」というのですが、メールなどで案内された個別の動画にアクセスすると、通話料金などの内訳や合計がストーリーに沿って数値と音声で案内されるんです。これは顧客満足の向上や解約率の低下、コールセンターの負担軽減などに効果があると、各キャリアから好評です。