日経BP社は、7月21日、「ソーシャルテレビ・アワード 2015」を発表した。今年で4回目となる同アワードは、ソーシャルメディアとテレビが急接近する動きのなかで、その連携や複合的活用に先進的に挑んだテレビ番組を表彰するもの。主催媒体は「日経デジタルマーケティング」「日経エンタテインメント!」。
テレビを視聴しながら気になる情報をスマートフォンで検索したり、ソーシャルメディアを通じて友だちと番組の感想を交わすといったテレビの視聴スタイルは一般的になった。日本のテレビ局でも、双方向性や即時性を持つソーシャルメディアやスマートフォンを活用する動きが年々広がり、新たな事業モデルの開発や広告主との新たな宣伝展開に結びつけようという試みが始まっている。
「ソーシャルテレビ・アワード 2015」
【大賞】『バーチャル高校野球』(朝日放送)
【日経デジタルマーケティング賞】『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ)
【日経エンタテインメント!賞】『ごめんね青春!』(TBSテレビ)
【特別賞】『マジック新世紀セロ 生放送SP』(フジテレビ)
【特別賞】『NISSAN×リアル脱出ゲームTV 史上最難関の採用試験 THE TEST』(日産自動車×TBSテレビ)
番組連動型のオリジナルCMでブランディングを実現した日産自動車
今年から新たに、広告主企業の取り組みを対象とした「広告主部門」(=広告賞)が新設。広告主企業による、テレビ(番組)とネットを連動させた先進的なマーケティング手法や取り組みを評価するもの。初の受賞は、日産自動車が『リアル脱出ゲームTV』とコラボレーションした『NISSAN×リアル脱出ゲームTV 史上最難関の採用試験 THE TEST』。番組とのタイアップにより、日産自動車のブランディングを自然な形で実現し、併せて、番組コンテンツとしての価値も高めたことが評価された。
『リアル脱出ゲームTV』は、警視庁のテロ対策本部を舞台に主人公たちがさまざまな謎解きに挑むという物語を楽しみながら、視聴者自身もスマホやPCから謎解きに参加できる体験型テレビドラマ。今回は、2014年に放送された連続ドラマ(全10話)のタイアップ。劇中のテロ対策本部が「民間人から暗号解読班を1名採用する」ため、実際のCM枠を使ってドラマと同じ世界観のCMを放送した。暗号解読班員役の採用試験はリアルな就職試験のように進み、10週間の選考を経て合格した1名がドラマ最終話に出演。さらに捜査車両として日産自動車「ノート(NOTE)」1台をプレゼントした。
選考委員であるアジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO 徳力基彦氏の「なぜ日産自動車はこのようなチャンレンジングな企画に挑戦しようと決断したのですか」という問いに対し、日産自動車 宣伝部の平川ちひろ氏は、「当時、日産自動車としても若年層の車への興味が薄れていることに大きな課題を感じていました。どうように若年層に車の魅力を知ってもらうか。それは単にソーシャル連動のキャンペーンを実施すればいいというわけではありません。番組の視聴者が興味を持っていることを理解して、そこに寄り添っていくことが大事なので、番組連動型のオリジナルのCMをつくってキャンペーンを設計しました。はじめての試みでしたが、結果的に日産自動車に対する関心の高まりや商品に対する理解の向上を、調査を通して数値的な結果として確認することができました」と語った。
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