求人応募数のトップは「動画広告配信グループ」
ファネル別に接触効果の検証をしたところ、動画広告も配信しているグループの方が、接触効果が高いことがわかった。例えば、会員登録のCVRは広告非接触グループと比較してDR広告のみのグループは1.41倍。一方、DR広告+動画広告のグループは1.52倍の結果が出ている。

さらに、DR広告のみのグループとDR広告+動画広告のグループのCVRを比較すると、ユーザーファネルの後方にいくほど差が開いていることがわかった。例えば、先ほどあげた会員登録CVRを比較すると、差は0.09だ。一方、求人応募のCVRではDR広告のみだと差が0.36も開く結果となった。「動画広告は私たちが改善したかった求人応募に効果がある。数値に現れたことで、その確信が持てました」と小林氏は語る。
転職サイトは競合が少なくない。また、同社のサービスは比較的後発だ。そのため、DR広告を見ても「キャリアトレックって何?」と疑問を感じる人々もいるだろう。小林氏は「動画でサービスを訴求することで、ユーザーに“こういうサイトだよね”と認識を持ってもらえ、違和感なく応募までつながったのではないかと思います」と、今回の結果の背景を考える。
CPAが40%高騰も、成功とみなす理由とは?
「なんだかんだ言っても、CPAや数値ベースの判断も重要」と小林氏。今回のCPAを確認した所、動画広告を使用した場合に会員登録でのCPAが約40%も高騰してしまった。これは、動画視聴の金額も含まれるためだ。しかし、求人応募でのCPAを見ると、DR広告のみのグループと比較して約10%のCPA低下を確認することができた。

一部だけを切り取ると、効率的ではないように映るだろう。しかし、きちんと回収ができていることがわかる。つまり、ユーザーファネル全体で見ると、動画広告はコストの最適化の部分でも十分に機能するといえるだろう。
「CPAの削減は、多くの企業の課題です。私たちも、今まではDR広告のクリエイティブ最適化によって、CPA削減を実現してきました。今回の取り組みを通してファネル全体で見て、動画広告との合わせ技を考えることで、まだまだ最適化できる部分はたくさんあることに気付きました」(小林氏)