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必勝シナリオを搭載したMAツール「Probance One」 中小EC企業の導入障壁を下げ市場拡大へ

 7月29日、ブレインパッドはかねてより提携する仏・プロバンス社とともに、SaaS型のマーケティングオートメーションツール「Probance One」をリリースした。国内唯一の機械学習機能が標準搭載されたツールであり、かつ中堅・中小企業や規模の小さいEC部門でも導入しやすい価格に抑えた。ブレインパッドの佐藤清之輔代表取締役社長、プロバンス社のEmmanuel Duhesme CEOは、EC市場の活性化を後押ししたいと語る。

データの可能性を存分に引き出す仏・プロバンス社

押久保:さまざまなマーケティングオートメーション(以下MA)ツールが日本市場に登場する中、新たにブレインパッドと仏・プロバンス社より「Probance One」がリリースされました。プロバンス社は有数のマーケティングソリューションベンダーだそうですが、まずは同社についてプロバンス社 CEOのドゥエムさんよりご紹介いただけますか?

Probance CEO Emmanuel Duhesme(エマニュエル・ドゥエム)氏(写真左)株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 佐藤清之輔氏(写真右)
Probance CEO Emmanuel Duhesme(エマニュエル・ドゥエム)氏(写真左)
株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 佐藤清之輔氏(写真右)

ドゥエム:プロバンス社は、2004年に設立しました。元々私は数学者なのですが、企業がデータの可能性を最大限に利用できるようにしたいという意図で、データ解析に強いソリューションをIT市場に提供していました。

押久保:日本では2年前よりブレインパッドと提携して展開しているMAツール「Probance Hyper Marketing」は、グローバルでも展開されています。どういった経緯で、ITからマーケティング領域へと事業を拡大されたのですか?

ドゥエム:設立当初から、コンピューターの機械学習機能を使えばマーケティングができる、という見通しはありました。実際に開発し始めたのは、7~8年前です。

 マーケティング業界は、顧客のプロフィールや行動データを使ってビジネスをしていきます。例えば、10万人の顧客と10万点の商品があったら、その組み合わせは膨大でとても人の手ではできません。開発当時はまだ一斉メールが主流で、顧客に合わせてカスタマイズできるソリューションはありませんでしたが、弊社ならそれを開発でき、いずれ必ず企業の役に立つものになると考えたのです。

高度な技術の普及には、専門知識なくとも使えることが重要

押久保:ブレインパッドとは、いつごろからのお付き合いなのですか?

佐藤:実は、ドゥエムさんとはプロバンス社を立ち上げる前から仕事をご一緒しているんです。私たちは今、ビッグデータを活用した予測や分析を行っていますが、彼はそれを機械学習によって自動化できるプロダクトを世界で初めて世に送り出した企業のメンバーのうちの一人です。もう10数年前ですが、弊社はそのプロダクトの日本での展開をお手伝いしました。

押久保:そうなんですね! その後に自身でプロバンス社を立ち上げ、ツールをマーケティング領域向けにブラッシュアップされたと。

ドゥエム:ええ。数学者や統計学者がいなくても、マーケティング領域の人たちだけでも簡単に使えるようにしたのです。

 例えるなら、以前は車全体ではなくエンジンだけを手掛けていましたが、それだとメカニックが分かる人でないと実用化できません。そこで、車も合わせて開発し、数学の専門知識がない人でも自由自在にどこへでも行けるようにしたわけです。技術が広く普及するためには、そういう方法がいい。この考えで開発したのが「Probance Hyper Marketing」でした。

EC先進国の仏、実店舗を持つブランド企業もMAに着手

押久保:フランスは、ヨーロッパの中でもEC先進国だと聞きました。ブレインパッドと提携されてから、日本市場との違いなど、感じられることはありますか?

ドゥエム:そうですね、ブレインパッドとは長いお付き合いになりますが、日本市場は消費者の変化も早く、難しいところがあります。

 日本でもそうかもしれませんが、ヨーロッパでの基本的なECツールは、大きく分けて新規顧客獲得ツールと、既存顧客のロイヤルティ向上ツールの2つがあります。5年ほど前までは、ヨーロッパの企業も大きな投資をして新規顧客の獲得に力を入れていましたが、この1~2年は市場の成熟と不況の影響もあり、既存顧客の育成に軸足が移っています。そのため、メッセージのカスタマイズやマルチチャネル対応が広がってきています。

 最近ではEC専業企業ではなく、実店舗を持つブランド企業も、ツールを活用した個々人へのレコメンドやメッセージ発信に取り組み始めています。

佐藤:プロバンス社と私たちがより重視しているのは、顧客の育成・維持です。ヨーロッパと日本の違いを言うなら、例えば在庫がなくても向こうではどんどん販売してしまいますが、日本だと絶対にNGですよね。そういった文化的な違いはあると思います。

日本市場での必勝8パターンのシナリオをあらかじめ搭載

押久保:では、今回リリースされたMAツール「Probance One」についてうかがいます。先の話にも通じますが、こちらは日本市場に特化した独自ソリューションとして開発されたそうですね。

ドゥエム:ええ。日本市場でのこれまでの経験を元に、日本で効果があるシナリオを厳選してあらかじめ搭載しています。「Probance Hyper Marketing」はオールインワンのツールで、あらゆるチャネルを統合したキャンペーンを実行・管理し、データマイニング機能も搭載しています。一方「Probance One」は、そこへベストプラクティスを加え、インターフェースもさらに直感的にしました。

押久保:これまでの日本市場での知見を元に、高い効果が見込めるシナリオがすでに組み込まれているんですね。

東:はい。「カートリマインド」「クロスセル」など8パターンに厳選して搭載し、併せてメールのテンプレートも入れています。データをアップし、シナリオを選び、メールを登録するという3ステップでMAをスタートすることができます。

 もうひとつ、こだわったのは価格設定です。中小のEC専業企業や、大手企業内でもまだ小規模なEC部門が導入しやすいように、初期費用0円・月額8万3000円~に設定しました。これだと年間100万円に収まるんです。

中小企業のMAツール活用で、日本のEC市場を活性化

押久保:なるほど。年間100万円以内というのは、ニーズあっての設定なのですか?

東:ええ。何社にもヒアリングを重ねて、そういった声をいただきました。先ほど、大手企業内の小規模EC部門でもと言いましたが、その他にも、まずは標準的機能で十分だが将来的には、独自のシナリオや複雑な施策を実行したいといった意見もありました。その場合、まずは「Probance One」を試して効果を確かめてから、事業の拡大にあわせて「Probance Hyper Marketing」へアップグレードする方法もあります。

押久保:中小企業でも導入しやすいという点では、MAツール自体の普及にもなりそうですね。

佐藤:そうしたいですね。MAツールを中小のEC企業へも広げて、日本のEC市場を活性化させることが、私たちの目標なんです。中小企業では担当者の数も少なく、データの専門家もいない。だから、一層の使いやすさが重要でした。

 大手ECやモールの数に比べて、中小のEC企業数は膨大です。その中には、新規顧客の獲得のためにモールへ出店しながらも、データの活用やブランド強化のために自社ECを伸ばしたいという企業が少なくない。あるいはモールへの出店も難しい規模の企業もあります。こうした中小企業が活性化し、早く事業が成長すれば、日本のEC市場はまだ相当拡大するはずです。

機械学習によるパースナライズ機能を標準搭載する「Probance One」

押久保:今回「Probance One」のリリースと同時に、両社の資本提携を進め、日本国内の拠点としてプロバンスジャパン合同会社の設立も発表されました。この意図をうかがえますか?

佐藤:日本の導入企業にスピーディーに対応する意図ももちろんありますが、法令順守を含めて導入企業の安全を確保する目的が大きいんです。個人情報保護法などの改正によって、企業のデータ保持の範囲や条件は変化するので、これらに日本の判断ですぐに対応できるようにします。

 提携についても強化はしますが、知的財産権はこれまで通りすべてプロバンス社で持ってもらいます。いずれ、この知見をまたヨーロッパやアジアでの展開にも活かせると思います。

押久保:最後に、今後の目標や期待を教えてください。

佐藤:数値的には、3年で200社以上の導入を目指しています。機械学習機能を標準搭載し、独自の予測モデルによって完全なパーソナライズ施策を実施できるのは、私たちの知る限りプロバンス社のMAツールだけの強みなので、この利便性と効果をぜひ多くの企業に知ってほしいですね。

ドゥエム:過去にも、大規模なMAツールだと導入する主体がIT部門になるため、マーケティング部門主体で導入できて柔軟に使えるツールがほしい、と弊社のツールに切り替えるケースが多くありました。「Probance One」で一層多くの日本企業をサポートしながら、高度な機能をさらにシンプルに提供できるようにしていきます。

Probance CEO Emmanuel Duhesme(エマニュエル・ドゥエム)氏(写真前列左)
株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 佐藤清之輔氏(写真前列右)
株式会社ブレインパッド ソリューション本部 営業部 Probanceプロダクトマネージャー 林隆司氏(写真後列左)
株式会社ブレインパッド ソリューション本部 マーケティングオートメーションサービス部長 東一成氏(写真中央)
株式会社ブレインパッド ソリューション本部 副本部長 若尾和広氏(写真後列右)

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

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高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2015/08/27 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22906