すかいらーく、発行クーポンを顧客ごとに最適化
同様にビッグデータを活用したオムニチャネルの事例としては、すかいらーくでデータマイニングを通したOne to Oneマーケティングが進んでいる。同社も主力業態のガストをはじめ複数の業態を有し、合計店舗数は約2,600店。ブレインパッドが支援に参画した時点で、すでにデータマイニングに取り組んでいたという。
「同社では『ガストアプリをリリースしてOne to Oneマーケティングに取り組む』という課題が明確になっていました。そのために必要なのは、日々のクーポンキャンペーンの反応確率を予測する膨大な分析モデルの作成がひとつ。次に、トータルで100億件を超える顧客データを扱える処理能力。そして、マスではなく個の分析を可能にする個人へのスコアリング、の3つでした」。
これらを叶えるため、前述のデータマイニングソフトウェア「SAP Predictive Analytics」を導入。例えば日々のクーポンキャンペーンでは、一律にポテトのクーポンを送るのではなく、「誰にどの商品のクーポンを送れば最も反応率が高いのか」を全会員・全商品について分析することで、反応率を大幅に引き上げた。
高速・短期間に分析できる処理速度も、この事例では重要だった。この一連の分析を統計の専門家が手作業で行おうとしたら、各商品についてサンプリングからデータの分別、変数選択、データ加工などを順次進めてモデルを作成する必要があり、数カ月単位の時間を要する。一方、今回導入したツールでは、膨大なデータ量ながら数時間~1日でモデル作成が可能だったという。
「分析モデルの作成に数カ月もかかったら、できあがったときにはもう顧客が変化していて使えません。このツールはデータマイニングを自動化したい企業によく導入されています」と林氏は話す。
顧客を理解した適切なコミュニケーション
3つ目のパターンは、顧客一人ひとりに対する情報提供。クラウドソーシング企業「A社」では、休眠顧客を活性化して顧客育成を図るため、ブレインパッドの自社開発プライベートDMP「Rtoaster」、および同社が提携するプロバンス社のマーケティングオートメーションツール「Probance Hyper Marketing」を導入。例えば受注者へは、パーソナライズメールを活用してステップアップを促し、サービスの継続利用に一定の成果を上げているという。
以上のように紹介されたさまざまな事例から、企業の課題に応じたソリューションを適切に導入してOne to Oneマーケティングを実行することで、業種を問わず確実にビジネス成果を得られることが理解できる。一人ひとりのニーズに合わせてオムニチャネルでコミュニケーションを図るからこそ、顧客に受け入れられ、企業へのロイヤルティが高まるのだ。
ブレインパッドではこのほど、中小規模の企業でも活用しやすいマーケティングオートメーションツール「Probance One」をリリース。「データ分析・活用領域での支援経験を元に、ソリューション開発とコンサルティング、さらに企業内のデータサイエンティスト育成などにも力を入れていきます」と、林氏は今後への意気込みを語った。
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