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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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データ活用の現場を直撃!(AD)

マーケティングが営業・経営と一体となり、収益向上を目指す。それを支える、じぶん銀行のデータ活用に迫る

ミクロにお客様を捉えて、最適な提案が出来るように

原島:御行の場合、KDDIさんとの連携や、スマートフォンでのネットバンキングが強みであると思います。この領域ならではのマーケティング分析としては、どのようなことを実施されているでしょうか?

井上(大):まず、当行のビジネスモデルは、auをご利用される全てのお客様の口座開設を目指すというものです。一般的には、お客様がバンキング・サービスを選択される際は、預貯金や資産運用など明確なニーズをお持ちであることが多いので、そこにいかにアプローチするかを考えます。他方、auをご利用のお客様を対象にした場合、銀行取引について明確な目的がある方ばかりではありません。多様なお客様お一人おひとりに着実にお取り引きしていただけるよう、どのようにフォローアップしていくかが大切です。そのためには、お客様お一人おひとり、つまり細分化したミクロなセグメントの一つひとつに対して、分析で得られた多くのアイデアの中から最適なものを選択してご提案することで、当行とお客様の関係性を向上させ、当行とのお付き合いに満足いただくことが必要だと考えています。

原島:ミクロに、お客様お一人おひとりを理解するということは、その背景となるデータが豊富にあるということでしょうか?

井上(大):いえ、そうは思っていません。当行のお客様お一人おひとりが保有されている、全ての金融資産に関するデータを保有しているわけではないからです。例えば、お客様が100万円をお持ちであったとしても、必ずしも全て当行に預けていただけるわけではありません。つまり、お客様はお取引を分散させている。ですから、お客様が当行で行われているお取引だけを見ても、本当のお客様像はわからないのです。

 また、特に重要だと考えているのは、お客様に何らかのニーズが発生していると思われるような予兆を、正確かつタイムリーに把握することです。金融商品の特性でもありますが、小売など他の業種と比べ、取引頻度が低いので、ニーズやその予兆を適切に捉えて、ご提案のタイミングを逃さないことが重要なのです。

原島:なるほど。ニーズや予兆を捉えたら、次は実際にお客様へのアプローチとなりますが、御行では、その手段はスマートフォンになるでしょうか。

井上(大):そうですね、スマートフォンを通じたコミュニケーションがメインです。銀行の商品は似通っていますから、当行では、お客様との関係性やその頻度をとても重視しています。手のひらにあるデバイスを通じてご提供するユーザーエクスペリエンスを、さらに良いものにしていきたいですね。

効果を出すために、マーケティングが経営と営業を「つなぐ」

原島:ところで、先ほどのお話のように、分析をアクションにつなげて効果を出すためには、組織間の調整も大切になってくるかと思います。工夫されている点はありますか?

井上(大):経営戦略部門の「マクロ」の数字と、営業部門の「ミクロ」の数字を連携することは重要な課題の一つです。経営戦略部門は、銀行全体としての収益など広い視野での舵取りが役割です。一方、営業部門はもっと細かくて、施策や商品ごとに一つひとつの成果を最大化することが役割です。経営戦略は営業の現場を知る必要があるし、営業の数字は足しあわせて経営戦略の数字にならないといけない。この2つを「つなぐ」役割をマーケティング部が担っています。マーケティングが経営戦略と営業の両方の視点や課題を理解して、分析を軸にそれぞれを支援していく。これが当行では、うまく機能しはじめていますね。

井上(直):我々マーケティング部では、部門間で連携するために、組織横断で議論する場を作るようにしています。分析から様々な施策案が出てきたら、営業部門に任せるのではなく、自分たちが成果を出すつもりで、営業部門とコミュニケーションしながら進めていきます。もちろん、結果も見ています。営業部門の施策や問題意識を共有しているわけです。

井上(大):加えて、マーケティング部は、経営陣や経営戦略部にも近い位置にいます。上から下まで縦横無尽に動いているというイメージですね。経営課題を理解し、経営の仮説を数字で検証するという流れができています。また、営業との個々の施策を進めるだけでなく、それが集合体としてどんな数字になるかを経営にフィードバックしています。マーケティングが「分析をもって経営と営業をつなぐ」こと、これは我々が目指しているところでもあります。

望月:プロジェクトで一緒に活動させていただいて、部門間で積極的にコミュニケーションが行われている、風通しのいい関係だと感じました。御行では、マーケティングが中心になって部門横断的に動いておられる様子が伺えます。データ分析活用の有用性が全社的に共通認知されていて、理想的なマーケティング環境ですね。最後に、SASに対してのご要望などお聞かせいただけるでしょうか。

井上(大):ツールとしての使い勝手、拡張性、最終的には効果につながるという意味で、良いものを選んだと思っています。これまでも一緒にシステムを作ってきましたが、これからは仮説検証面でのパートナーとして、我々を牽引してくれるようなサポートを期待しています。

 というのも、auをご利用される全てのお客様に口座開設いただくこと、ネット専業であること、銀行という業態であること、これら3つの要素をあわせ持つという当行の特徴は、他のどの企業にもないものです。多種多様な知見とセンスが必要になってくるのですが、全てわかる行員はまだ多くありませんから。

望月:はい。弊社は銀行や流通小売など、様々な業界のお客様をご支援いたしております。それらの知見や経験を活かし、単なる分析ツールの導入や分析支援だけではない、お客様の目線に立った現実的なご提案を通じて、今後もサポートさせていただければと思います。今回は、ありがとうございました。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/22975

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