オンラインからオフラインへ、広がる利用者同士の交流
――利用者同士のコミュニケーションは行われているのでしょうか?
日高氏:プラットフォーム上でのコミュニケーションと、オフラインでのコミュニケーションが発生しています。前者は投稿された写真に対してコメントをしたり、「いいね!」を押したり、気に入った投稿写真を友だちと共有するなどが可能です。Instagram独特のコミュニケーションという点では、後者のオフラインでの交流が上げられます。
Instameetと呼ばれているイベントがあります。これはInstagramのコミュニティ内で自然発生したイベントです。まったく知らない人同士が撮影会を開催して、撮った写真を自分たちが決めたハッシュタグでInstagramにアップするというものです。いわゆるオフ会ですね。私も何度かプライベートで参加したことがあるのですが、写真の撮り方やティップスを共有したり、お料理系のコミュニティだったらレシピを交換したりと、リアルでの交流を楽しまれています。この現象は、世界観を共有できるサービスならではだと思いますね。
この流れを受けて、2015年2月に公式のイベント「MeetMeJapan」を日本各地で開催しました。Instagram内で「#meetmejapan」と検索すると、2万件以上の写真を見ることができるかと思います。
トレンドの流れに乗ったイケアジャパン
――Instagramという場を企業が活用するにはどうすれば良いでしょうか?
日高氏:ご興味を持たれていて使ってみようか悩まれている段階ならば、まずはInstagramをのぞいていただき、ご自身で使って使っていただくことをお勧めします。これまでお話したとおり、Instagramの中では様々なコミュニティがあり、多様な世界観があります。実際に体験していただき自社がどうコミュニケーションを取っていくのか、やりたいことが実現可能かを考えると良いかと思います。また、実際に使うことでこの記事では紹介しきれないInstagram内のトレンドを掴むこともできるかと思います。
――Instagram内のトレンドとは、どのようなものがあるのですか?
日高氏:例えば、オーガニックに発生したハッシュタグに「#instagramlogo」があります。これは、文房具や食材など身近にあるものでInstagramのロゴを再現して投稿するというものです。
また、Instagramに投稿された写真は、アカウント画面に時系列で横に3列並ぶという法則があります。これを利用して、複数の写真で1つの大きな画像をつくるという、少し高度なテクニックも利用者の間で編み出されました。この2つの流行を上手く取り入れたのが、イケアジャパン(@ikeajapan)です。イケアジャパンのアカウント画面に行くと、9枚の写真で構成された大きなInstgramのロゴを見ることができます。この写真をよく見ると、一つ一つがイケアの商品になっているんです。
Instagramを日ごろから楽しんでいる利用者が、イケアさんのクリエイティブを目にすれば恐らく「すごい!」と感じるかと思います。印象に残るでしょうし、そこから、自然とコミュニケーションがはじまる可能性だってあります。このような動きは、実際にInstagramを使っていないと掴めないと思います。
――試験的に運用を開始するとしたら、何に気を付けるべきでしょうか?
日高氏:「何を表現するか」を考える必要があるかと思います。例えばBtoCの場合、店舗の雰囲気を伝えたいのか、商品に特化するのか、提案したいライフスタイルを見せていくのか。様々な方針が考えられます。ブランドや企業の多くが、伝えたいメッセージや世界観を持っているかと思います。それをどう表現すればInstagramの利用者に届くのか。
これは試行錯誤の中で見つかるものかと思います。紙の広告で使ったクリエイティブをそのまま持ってくるのか、もっとInstagramに寄り添ったものにするのか、その判断は実際に運用すると見えてくるでしょう。ソーシャルを活用する際には、どのサービスにもいえることですが肌感覚を持てるかどうかは非常に大きいかと思いますね。
また、公式アカウントとして運用したいとお考えのかたも多いかと思います。認証バッヂのついた公式アカウントは、当初ファンの方によって運営されているアカウントが多い芸能人の方々のために、本人が運営しているアカウントを区別するために導入した機能であり、インターネットから申請できるものではありません。最近は広告の展開も行っているため、企業様からのご要望もあり、徐々に対応させて頂いている状況です。これからアカウントを開設される場合は、プロフィール欄の文言とアイコンを使って公式である旨を明記するのが良いかと思います。