実は企業の信頼性が決め手だった中堅不動産会社
MZ:顧客の心理も、かなり一人ひとりの行動データで可視化することができるんですね。
三宅:そう思います。ただ、先ほどの事例もそうですが、元々ほかの情報源があって最初から指名検索で流入する人や、サイトをほぼ見ずにまず資料請求をする人もかなりいます。なので、個々を見ずに漠然と頻出の行動パターンを捉えようとすると、実はコンバージョンを伸ばす決め手になる心理には気付かないのです。
もうひとつ、ある中堅不動産会社のマンション販売事例をご紹介します。この企業は、当社の効果測定ツール「WebAntenna」を活用し、自社でもログデータを取ってカスタマージャーニーの把握に意欲的でした。ただ、やはり一定の指名検索数があったので、物件ごとの担当者は物件の良さを訴求すれば売れると捉えていました。
MZ:実際には、物件の良さだけでは足りなかった?
三宅:はい。マンション販売では近隣にチラシを配布するので、そういう人は実際にマンションの建物を見て知っていたりするので、指名で検索してすぐに資料請求します。その確率も高い。
一方、本来Webで捉えたい、バナーやリターゲティングから流入する潜在顧客はほとんど離脱していました。ボリュームゾーンとしては指名検索ユーザーなのですが、成果の伸び代はバナーなどから流入するユーザーの方で、そちらに合わせたコミュニケーションの最適化が必要なのです。
そこで、そのような顧客行動を細かくみると、ブランドサイトからコーポレートサイトへ訪れ、会社概要や実績などをじっくり確認している人が一定数いました。同社は中堅の不動産企業で、そこまで知名度が高くなかったので、「どんな会社が建てているんだろう」という企業やブランドへの信頼性が重要だったんです。そこでブランドサイトで信頼性を伝えるコンテンツを強調するようにしました。
事実とマーケター自身の思考を掛け合わせて施策を導く
MZ:ログデータを使って、顧客行動(カスタマージャーニー)を可視化する手法には、どのようなものがありますか?
三宅:例えば、当社の効果測定ツール「WebAntenna」には、コンバージョンした一人ひとりのログデータを一覧にし、いくつかの軸で簡単に行動パターンを集計することができます。初回訪問してすぐにコンバージョンした人や、自然検索で流入した人などの行動パターンの割合を簡単に確認できます。事実とマーケター自身の思考を掛け合わせて施策を検討できるので、有効ですね。
また、当社では顧客の生の行動を知るコンサルティング調査も行っています。例えば自動車に関する調査であれば、本当に購買を検討している人を被験者として集めて、テレビCMを見たなど自動車の情報に接触したときに、スマホを使ってSNSなどでリアルタイムに感想を投稿してもらいます。
そうすると、リアルも含めて、顧客がどのような情報に接触し、どのような心理になったのかということを把握することができます。
MZ:そんな活動もあるのですね。カスタマージャーニー発想において、事実の把握がいかに大切かがよく分かりました。最後に、読者へアドバイスをいただけますか。
三宅:本質的にインパクトが得られるのは、やはり顧客の自然な行動に寄り添った施策だと思います。きちんと把握できれば、カスタマージャーニーに基づくアプローチには大きな可能性があるので、ぜひ現実の顧客を知ることに注力していただけたらと思います。
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「ウェブデータから分かる!カスタマージャーニー可視化のポイントと成功事例」
ユーザ行動や心理を深く分析し、デジタルマーケティングの支援を行うビービットが、データを用いて、カスタマージャーニーを可視化する手法をご紹介します。全12ページ。成功・失敗事例も掲載。