英語がマァマァでも、バカにされない。フツーの日本人が海外で働いてみるには、格好の場所。

佐藤:話は戻りますが、いったいなぜ、シンガポールで働くことに?
小木曽:48歳の頃に、会社での将来像が想像できなくなって、いろいろと模索していたんです。その中のひとつとして、ひょんなことから、“シンガポール起業&進出ツアー”みたいなのに2泊3日で参加しました。それで、すっかり気に入ってしまって。東京と違って、普通6時頃に会社を出る。それでも平均給与は高い。インド人、アメリカ人、ベルギー人、常時数か国の人が一緒に上手く働いている。ここで自分のスキルとノウハウが活かせないかと考え始めて、計画を進めてたんです。
佐藤:その頃、30代の年下の奥さまも、シンガポール勤務になったとか。
小木曽:英語と中国語ができて、以前から海外勤務を希望していた奥さんに、たまたまシンガポール勤務の発令が出たのも、ラッキーではありましたね。
佐藤:英語は、前から堪能なんですか?
小木曽:いや、そうでもないんです。実は、今も(笑)。若い頃はTOEIC500点。こつこつ勉強して、今やっと700点台まできました。それでもアメリカやイギリスで働くのはシンドイでしょうけれど、シンガポールではなんとかなります。多国籍の人が働いていて、英語がそんなに上手くなくてもバカにされない。仕事場でも、お店でも。
佐藤:決め手になったことって、何ですか?
小木曽:ある程度年も取って来て、ずっと働ける環境がほしいな、と思ったんです。健康的でいたい。家族を大事にしたい。家事をちゃんとやりたい。そうすると、限定的な時間で効率的に働かなければならない、と考えたんです。 でも、一般に日本の会社はとにかく拘束時間が長くて、夜が遅い。これは、場所を変えて見るしかないな、と。シンガポールは、“ずっと働ける環境”になり得るな、と直感しました。