マーケターのゴールはお客様を理解すること
同イベントではセールスフォース マーケティング・ディレクターの加藤 希尊氏も登壇し、世界で活躍するスコット氏とデジタルマーケティングの最新動向やマーケティングの変化と課題について、ディスカッションが行われた。
加藤氏は来場者に向けて、「今がマーケティングの変革期だと感じていますか?」と投げかけた。半数以上の来場者が手を挙げ、マーケティングやマーケターの環境が変わってきていることをうかがわせた。スコット氏はマーケティングの変化について、「マーケティングという言葉が意味するものですら変わってくるかもしれない。その定義自体が拡大してしまっている」とも話した。しかし、そのような状況においても、マーケターのゴールは何十年も一貫したものがあると語る。それは「お客様を理解する」ということだ。「本当の意味でお客様との一対一での関係を作っていくことが課題になっている。そして、そこに過去にはない大きな機会も潜んでいる」(スコット氏)

セールスフォース・ドットコム マーケティング・ディレクター 加藤希尊氏(写真右)
Webによる効果測定やオンラインアンケート、インタビューなどお客様の声を集める方法にはいろいろある。スコット氏によると、どの方法が最も優れているということはなく、ひとつのやり方やひとつの解決策に固執しないことこそが大切だという。そして、企業や組織として、顧客の声に耳を傾けるという文化を醸成することこそが重要なのだ。これからも、企業と顧客とのタッチポイントは増え続けていくことだろう。それらを有効に活用することで企業は顧客に関する新たな知見を得られるようになる。そこには、顧客との新たな形でのエンゲージメントを確立するチャンスもあるのだ。
これからのマーケターに求められるのはリーダーシップ
スコット氏はこれからのマーケターに必要なものは「リーダーシップである」と語った。マーケティング変革期にある今、マーケターにはある大きな機会と使命がある。それは組織全体を率いていくということだ。マーケティングが企業活動のあらゆるところで活用されるようになり、マーケターは企業内でさまざまな部署間の橋渡しとしての役割を果たしていくのだ。
マーケターがリーダーシップを発揮するためにも、小さな一歩をいとわないことが肝心だ。どんな一歩でも、必ず意味はある。その一歩一歩の積み重ねが、企業や組織に顧客中心の考え方を根付かせ、顧客との新たな関係性を作り上げていくのだ。その先に、真の意味での「One to Oneマーケティング」があるのではないだろうか。小さな一歩を大きな一歩に導けるマーケター。それが今、まさに求められている。