スタッフの知見をカスタマージャーニーへ反映したエノテカ
3つ目のステップが「オンボーディング」。これから始まるカスタマージャーニーにエントリーしてもらう段階だ。ウェイド氏は「“第一印象”のチャンスは一度きり。だから、オンボーディングは関係づくりにおいて非常に重要だ」と協調する。
ここでは、ワインのインポーターであるエノテカにおけるMarketing Cloud活用のデモを経て、同社の通販事業部長である池照直樹氏が登壇。戦略が語られた。
エノテカは直販店舗と卸売業に加えて、ECを展開。「当社の強みは、ワインの質とラインアップ、そしてスタッフの知見。67%がワインの資格保有者で、店頭にてお客様に合った1本を提案し続けてきた。ECでも、店頭と同じ体験を提供し、スケールさせることが現在のテーマ」と池照氏。
そこで同社では、Marketing Cloudの一機能である「Audience Builder」を使って、顧客の属性や購買の情報を一元化およびセグメンテーションを行い、購入した商品を分岐点にシナリオを構築。「Journey Builder」によってカスタマージャーニーを組み立てていった。「知識と経験から『次に何を好きになっていただけるか』を提案するのはアートの世界」との池照氏の言葉に、ウェイド氏も「データからきっちりとセグメンテーションするのはサイエンス、この融合が肝腎だ」と続ける。
今後の展望について池照氏は、さらに細かいセグメントへのアプローチと、SNSを活用した新規顧客へのアピールを挙げる。「どのチャネルでも、エノテカのホスピタリティを感じていただきたい」とのビジョンには、カスタマージャーニーの精度が上がるほど近づきそうだ。
最適なタイミングで最適な情報を届けるリクルートジョブズ
カスタマーのライフサイクルにおける重要なポイントの4つ目は、「エンゲージメント」だ。講演後半のガイドを務める、セールスフォース・ドットコム執行役員の笹俊文氏は「顧客の行動などから嗜好を知り、理解を深めれば、次なる適切な商品・サービスの提案が可能になる」と語る。
その事例として紹介されたのが、リクルートジョブズのサービス「リクナビ派遣」でのMarketing Cloud活用だ。同社にてデジタルマーケティング部を率いる板澤一樹氏が登壇。活用の詳細が語られた。
板澤氏は、言語処理技術を用いて自動で返信する、同社のフロム・エーナビのキャラクター「パン田一郎」の公式LINEアカウントを手がけたことでも知られる人物。「リクナビ派遣は会員登録を前提としているので、登録がジャーニーの起点となる。以降、ユーザーの検索条件や閲覧案件といったデータを蓄積して、Webコンテンツやメールの内容を最適化している」と語る。
ただしメールについては、届け方にも工夫がされている。たとえ内容がユーザーに合ったものでも、ユーザーの勤務時間中にプッシュ通知で求人情報が届くと逆効果だ。サイトにアクセスした際にMarketing Cloudを通して配信するなど、ユーザーが情報にいかに接触するかを工夫しているという。板澤氏は「タイミングは非常に大事」と語る。「今後はMarketing Cloudでアプリのプッシュ通知なども行いたい。データやテクノロジーを活用して、各ユーザーに最適なエクスペリエンスをデザインすることが、我々の使命だと考えている」と結んだ。
講演資料のダウンロードが可能です
「Salesforce World Tour Tokyo」の講演資料をこちらからダウンロードできます。記事とあわせてご覧いただければ、より深く内容が理解できるかと思いますので、ぜひご利用ください!
本記事で紹介したレポートは……
Day2:12月4日 虎ノ門ヒルズフォーラム
【9-1セッション】
[Marketing Cloud プロダクトキーノート]One to One カスタマージャーニー エノテカ、リクルートジョブス、コニカミノルタなど、最新国内事例を一挙公開
◎ダウンロードはこちらから!