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織田浩一の近未来マーケティングガイド

第1回 米国で加速する「オンラインメディアの民主化」とその影響


Web2.0という言葉は、何だかよくわからない曖昧な定義でありながらも、流行り言葉としてセンセーショナルに取り上げられ、やっと今、落ち着いて見られるような状況になってきたのではないだろうか。

 Web2.0がどういう意味かというようなことは、他の記事に譲るとして、本稿では、Web2.0を「オンラインメディアの民主化」として捉え、オンライン広告との関係において、どのような現象が欧米で進んでいるかを解説する。

ネットがもたらしたメディアの細分化

 ちょっとアメリカのマスメディアの細分化という話のおさらいをしてみたい。

 アメリカでは、1940年代にTVが普及し始め、ニュース映画とラジオの時代からTVの時代が始まった。1952年までに2000万世帯に普及したということで、戦後景気とともに一気に普及した感じがある。その中でABC、CBS、NBCの3大ネットワークが生まれ、1948年にオンエアが始まった「Texaco Star Theater」は、TV視聴世帯の86.7%を占めたという。Texacoがガソリンスタンドの会社であることからもわかるように、一社提供の番組でこれだけの高いリーチが得られ、広告的にも影響力のあるメディアになった。

 そして70年代、80年代、この3大TVネットワーク時代に変化が起こる。ケーブルTVの参入だ。もともとはTV電波の届かない家庭へのTV普及対策であったが、それが都市部の家庭にも普及し始め、そこをチャンスと見た起業家やハリウッドのプロデューサーたちがケーブルTVのためのチャンネルや番組を用意し始めた。ライフスタイルの多様化が起こり、それが雑誌などでも見受けられた時代であり、ケーブルTVチャンネルもその流れに乗ったというところだろう。3大ネットワークが数百のネットワークに変わったわけだ。

 そして90年代半ば。次のメディア細分化の波としてネットが大きな役割を果たした。新たな起業家がネットという新しい通信チャネルを使って、新たなメディアをつくるべくYahoo!、AOL、Exciteなど多数の会社が生まれ、ベンチャーキャピタルから多額のお金が落ちた。ネットバブルによって多数の企業は倒産に見舞われたものの、さまざまなニッチメディアが生き残った。メインなところは、数千から数万という規模ではないだろうか。

ブログを始めとするCGMによるメディアの民主化

 さて、ここまではWeb1.0の話である。Web1.0のモデルは基本的にマスメディアをオンラインに載せただけ、というよう感じである。例えば、ポータルはTVと同じような感じで、最も視聴者の多い番組が最も高い広告費を稼げて、そのような番組をいかにたくさんつくるかがビジネスの鍵になっている。雑誌や新聞でも同じで、記事をオンラインに上げ、その記事がどれだけ読者を集められるかというような考え方だ。キラーコンテンツという考え方はWeb1.0的な考え方でもある。

 オンラインにはインタラクティブ性があるということは言われているが、ダイアルアップ時代だったWeb1.0ではオンデマンド的な情報接触であるという以外には、さほどインタラクティブ性がなかった。

 ブロードバンドの爆発的な普及で、この状況は一気に変わり、そしてWeb2.0時代へと突入した。ブログ、ソーシャルネットワークサービス(SNS)、RSSといったCGM(Consumer-Generated Media:消費者作成メディア)で個人が自ら情報を発信したり、受け取った情報を転送、共有、あるいは批評、ランキング付けするような環境が出来上がっている。

 今までは、マスメディアのみの特権であったニュースや情報を発信するという行為が、一般の人たちによって行われる環境が出来上がり、マスメディアの記事やニュース、評論なども一般の人たちや、今までメディアに出て来れなかった専門家によって批評されるという現象が出現することになった。つまり、メディアの民主化が起こったといっていいだろう。

 上記のメディアの細分化ということで言えば、数百万から数千万にさらに細分化したことになるだろう。

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この記事の著者

織田 浩一(オリタ コウイチ)

デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。 広告・メディアビジネスコンサルタント。米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービス、記事執筆、講演を行っている。最近では有力ブログをネットワークするAgile Media Networkの立ち上げに関与した。監修書に「テレビCM崩壊~マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0(Joseph...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/08/07 17:35 https://markezine.jp/article/detail/24

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