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開始2年で企業価値3,000億円超。BtoBチャットツール「Slack」とは何か

如何にしてユーザを獲得していった?

 ではSlackがどのようなマーケティングをしていたかというと、「ほぼすべて口コミ」というマーケター泣かせの答え。しかしそれで納得しても仕方ありませんので、可能な限りその秘密に迫ってみることにしましょう。

 Slackの開発は、ユーザからのフィードバックを最も大切にし、短期間で開発のサイクルを回す、いわゆる「リーン・スタートアップ」形式を採用しました。自分たちが作りたい機能、良いと思う要素は排除し、徹底的にユーザの意見を聞いたのです。

 当初は、バターフィールド氏の知人など限られた企業に試験利用してもらい、招待制を経て、正式公開した後も、Slackサポートは積極的にユーザと関わっています。月に数万件ともいわれる公式ツイッター等に寄せられる質問にすべて回答し、ユーザの意見を聞くサポートメンバーと、実際に開発を行うメンバーは常に密接な関係にあるといいます。

 また、Slackに登録するとすぐに現れる「bot」もその延長にあるといえます。このbotは、まるで本物の人間のようにフレンドリーな語り口でユーザに接し、利用当初の随所でアドバイスをくれます。これにより、ヘルプページや説明するページを参照せずとも、直感的に利用を進めることができるのです。

Slackのこれからは……?

 Slackの現状を見ていると、思い出す1つのプロダクトがあります。それはEvernote。シリコンバレーに颯爽と登場し、瞬く間に世界中でユーザを獲得。時代の最先端を走るユニコーン企業の代表的な存在でした。

 しかしそのEvernoteは、ここ数年売上の伸びに苦しみ、昨年ついにCEOも交代。やや迷走状態だと揶揄される主な理由は、機能を増やしすぎたことだと指摘されます。VCから多大な資金を集め、彼らからの収益増加の圧力に応えんとするばかりに数々の追加機能を発表しましたが、それらは特に古くからのユーザにとって「邪魔」でしかなく、シンプルなメモアプリとして重宝された利便性が失われてしまうという結果を招きました

 Slackも既に、慎重な舵取りが求められるフェーズに入ったと思います。既にビデオチャットなど複数企業の買収を積極的に行っていますが、世界中のエンジニアたちのご機嫌を損ねないためにも、今後はプロダクトの方向性に十分な注意をする必要があるでしょう。また、現在の急成長を前提に素晴らしいプロフィットを生むことを期待しているVCたちにも、その成果を見せなくてはなりません。

 現在最も勢いのあるサービスの1つ、Slack。果たして、今後はどんな姿を我々に見せてくれるでしょうか。

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この記事の著者

渡邊 徹則(ワタナベ テツノリ)

株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。
執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。
会社概要 - seven@ver7.jp - Twitter/Facebook @brigate7

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/04/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24144

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