Eメール時代の終焉? Slackとは何か
「Slack(スラック)」というサービスをご存知でしょうか。国内では主にテック系の企業に愛され、海外、特にアメリカでは大企業も採用するなど、現在急激に成長を続けています。
サービスを一言で説明するなら、ビジネス用のチャットツール。部署やプロジェクトのメンバー間が、ビジネスを円滑に進めるための情報交換を行うもので、LINEのグループのようなイメージです。
ビジネスの世界で既に数十年メインアプリとして君臨するEメールを、遂に終わらせるサービスになるかと期待されているSlack。はたして、何がこれほどまで受け入れられたのでしょうか。
創業者は「Flickr」開発者、共通点は「副産物」
Slackを創業したのは、スチュワート・バターフィールドという人物。日本ではあまり馴染みのない名前ですが、あの写真共有サイト「Flickr」の共同創業者です。タグ付けなど、当時としては斬新なアイデアをふんだんに盛り込み、世界中のフォトグラファーを魅了したサービスは、2005年3月に米Yahooにおよそ31億円(当時)で買収されました。
それから数年を経て生まれたSlack。この2つのサービスには、奇妙な共通点があります。それは、「副産物」だということ。
バターフィールド氏は、本来はオンラインゲーム(MMORPG)の開発を目指していました。Flickrはゲーム内で写真を共有する機能、Slackは開発中に社内のコミュニケーションを円滑にしようと生まれたものだったのです。思わぬ形で2つの世界的なサービスを産んだバターフィールド氏。ちなみに、ゲームの方は残念ながらあまり人気が出ませんでした。
企業価値はすでに3,000億円超。本人たちも驚く利用者の伸び
Slackの企業価値は既に3,000億円を超えており、先日、さらにその価値を4,500億円に乗せるため、VCからの投資を計画しているとも報じられました。サービスの正式公開が2014年2月ですので、わずか2年あまりでこれほど高い評価を得たことになります。
また以下の図は、Slackの公式情報によるもの。左はサービス開始から半年のアクティブユーザの伸びを示すもので、この時点で既に相当なカーブを描いていたのですが、右側の1年後はそれさえも霞むほど、さらなる大幅な伸長を見せています。これには、運営している当の本人たちも「信じられない」と驚くほどだったそうです。
業界関係者が「これほど勢いのあるサービスは過去に例がない」と驚くSlackの伸び。それでは、Slackは何がそれほど評価されているのでしょうか?